「夫婦は同姓」と定めた民法の規定について昨年12月、最高裁は「合憲」と判断した。ただ、判決では女性の不利益も認め、選択的夫婦別姓を含めた議論を国会に促した。多様化する家族や姓のあり方についてあらためて考えたい。 「これからも『訳あり?』と聞かれ続けるのでしょうか」。事実婚をして15年になる福岡市の会社役員、洞(ほら)明子さん(52)はため息混じりだ。 ライブバー経営、白井哲哉さん(63)とは再婚同士。「姓がころころ変わるのは、親しくない人にまで離婚や再婚を宣言しているようで、変えたくない」と、事実婚を選んだ。 中学2年の息子(14)は洞さんの姓を名乗る。息子の小中学校で白井さんがPTA役員を引き受けると、洞さんは「もしかして訳あり?」と尋ねられるようになった。役員名簿で息子の姓と異なることに気付いたのだろう。年度初めの保護者会で必ず「姓を変えたくないので事実婚をしています」と説明しているが