総延長2.4キロ、高さ10メートルと国内屈指の防潮堤があった岩手県宮古市田老(たろう)地区。東日本大震災では、国内最大級の大津波が防潮堤の一部を崩壊させた。大量の濁流が地区に流入し、人家を一気にのみ込んでしまった。防潮堤は大津波に対し、どれほどの効果があったのだろうか。防潮堤の周辺を歩き、自分の目と耳で確かめてみた。(内海俊彦) 「防潮堤が壊れるなんて、思ってもみなかった」 崩壊した防潮堤の近くにあった実家が流された盛岡市の会社員、中野直之さん(46)。泥だらけの更地に変わってしまった思い出の地を、力なく見つめながら、こう話した。 陸地を津波から「ナ」の字型に守る防潮堤は、今回の大津波で東側500メートル部分が完全に崩された。引き波の影響なのか、大きなコンクリート壁が海側に向けて、いくつもなぎ倒されている。西側に延びる防潮堤も、表面のコンクリートが完全にはがされていた。 気象庁の観測では、