年内最終合意に向けて、スイスのジュネーブで行われていた世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が決裂したことで、WTOが目指した世界の貿易拡大という目標は遠のいた。日本も含め、世界の各国は2国間や多国間協定での貿易拡大を目指すことになる。ただ、過度なブロック経済は世界全体に重大な影響を及ぼすことが第2次大戦の教訓として今も語られるだけに、このまま放置されることはないにせよ交渉再開までに長期停滞は避けられない。 途上国は農産物を中心に輸出し、先進国は工業品を輸出する。各国が得意分野の産業を生かして輸出すれば世界全体の経済成長が促され、紛争要因となる貧困問題の解消も図れる。 ドーハ・ラウンドが目指したのはそのような世界だったが、日本がコメをはじめとした主要農産物の関税大幅引き下げにはかたくなな姿勢を崩さず、米国は国内農家の振興をはかる補助金で大きな譲歩をしなかった。新興国や