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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (83)

  • 突然資源国になったらどうすべきか? - himaginary’s diary

    ある国で石油資源が見つかったことをエネルギー相が財務相に知らせる、という仮想的な状況を描いたエントリがIMFブログに上がっている(H/T Mostly Economics)。著者はSanjeev GuptaとEnrique Floresで、2人がAlex Segura-Ubiergoと共に書いたIMFスタッフディスカッションノートの解説記事になっている。 記事では、資源の呪いを回避できるような堅牢な制度が確立していない国では、資源からの収入を国民に直接配ってしまえば良い、と主張するXavier Sala-i-MartinとArvind Subramanianの論文を俎上に載せている。同論文の主旨は、直接分配のメカニズムによって非効率ないし腐敗した予算制度が迂回されるほか、分配した資源からの収入が税金を通じて政府に再吸収されれば、その使い道についての政府の説明責任を求める国民の声が高まる、と

    突然資源国になったらどうすべきか? - himaginary’s diary
    ruletheworld
    ruletheworld 2014/06/15
    『資源の呪いを回避できるような堅牢な制度が確立していない』のに教育予算に回す以外の選択があるの?
  • 自然災害が公共部門の腐敗をもたらす - himaginary’s diary

    UDADISIが山村英司・西南学院大学経済学部教授のPublic Choice論文「Impact of natural disaster on public sector corruption」(WP)を紹介している*1。 UDADISIは結論部から以下の文章を引用している。 The major findings of this study are the following. (1) Natural disasters lead the public sector to become corrupt. (2) Floods have a significant effect on corruption; however, other types of disaster do not exhibit such effects. This indicates that disasters t

    自然災害が公共部門の腐敗をもたらす - himaginary’s diary
  • エネルギー節約技術の進歩がエネルギー消費の減少につながらない理由 - himaginary’s diary

    についてペンシルベニア大学ウォートン校教授のArthur van Benthemが研究した結果を、同大の「The K@W Network」1/16付け記事が報告している(H/T Mostly Economics)。 記事の冒頭では、研究のテーマを以下のように表現している。 Developing nations these days have access to energy-saving technologies that did not exist when wealthy, industrialized countries were at a similar stage of their own growth. As these developing nations evolve in the future, will they wind up consuming less energ

    エネルギー節約技術の進歩がエネルギー消費の減少につながらない理由 - himaginary’s diary
  • 世界の経済的不平等について知っておくべき10のこと - himaginary’s diary

    をKathleen Geierというシカゴ在住のライターが自ブログで挙げている(H/T Economist's View)。 世界経済の不平等を計測するのは非常に困難 各国が実施する国別の調査はあるが、世界規模の統一的な所得に関する家計調査は存在しない。 国別調査は質や質問や手法が標準化されていない。さらに以下の問題がある: 何が所得かという問題。例: 自作農の所得をどう記録するか 医療保険(ある国では無料の皆保険、ある国では被雇用者の民間給付パッケージ)を所得として扱うかどうか 人々は得てして所得を正確に記憶していない。 所得形態が定期的に支払われる賃金でなければ無理からぬこと 富裕層貧困層も正しい値が得られない傾向がある。 多くの調査では開示所得に上限制約を掛けるため(topcoding*1)、富裕層の所得を過小評価する 異なる国の家計調査をつき合わせる際の通貨換算の問題。 経済的不

    世界の経済的不平等について知っておくべき10のこと - himaginary’s diary
  • フィフス・エレメント - himaginary’s diary

    貨幣の三大機能と言えば、Wikipediaにあるように、価値尺度(unit of account)、流通手段(medium of exchange)、価値貯蔵(store of value)の3つである。そのほか、繰延支払の標準(standard of deferred payment)を第四の機能としてカウントすることもかつてはあったようだ。 しかし、最近のブログでのやり取り等を通じて、実は貨幣には第五の機能があると多くの人が信じるようになっているのではないか、と思うようになった。その第五の機能とは「実体経済の健全性の尺度」である。 一般に流動性の罠とは、金利をゼロまで下げても人々が(貨幣を含む)金融資産志向を続け、実体経済に資金が回らない、という状況を指す。その金融資産志向の原因については、ケインズの言うような債券価格の下落を恐れた貨幣への逃避(流動性選好)や、小野理論の言うような金

    フィフス・エレメント - himaginary’s diary
  • 福島第一による原発事故発生確率のベイズ更新 - himaginary’s diary

    について世上どのような考察がなされているか知りたいとふと思い、ぐぐってみたところ、このパワーポイントに行き当たった*1。書いたのはFrancois LevequeとLina Escobar。著者のうちLevequeはCERNA(Centre d'Economie Industrielle MINES ParisTech=パリ国立高等鉱業学校産業経済研究所)経済学部教授(HP)で、知財やエネルギー問題が専門で、EU Energy Policy Blogというブログに寄稿しているとの由。 そのパワーポイントの概要は以下の通り。 これまでに観測された炉心損傷事故は、14400年・炉数の中で、以下の11件*2。 Year Location Unit Reactor type 1959 California, USA Sodium reactor experiment Sodium-cooled p

    福島第一による原発事故発生確率のベイズ更新 - himaginary’s diary
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    ruletheworld 2012/04/29
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  • 貧しい少女が妊娠するのは合理的な行動 - himaginary’s diary

    2/3エントリではカール・スミスとブライアン・カプランのdeserving poorを巡る討論に纏わる話題を紹介したが、そのカール・スミスが昨年末のブログで表題のような主張を行っていた(H/T ターラー・コーエン) その理由は以下の通り。 16歳で避妊をせずに定期的に性交渉を行えば、ほぼ確実に妊娠する。出産で死亡する可能性は低く、その年齢ならば後期流産の可能性も低い。 子供を持つことが人生最大の喜びであることは多くの人が認めるところである。 それに対し、一般に推奨される進路、即ち刻苦勉励して学歴を取得することは、一種のギャンブルである、とスミスは言う。というのは、そのように社会の階段を上がることと引き換えに出産時期を遅らせることには、結局子供を持てなくなるリスクが存在するほか、時間割引率をも伴うからである。 ちなみにスミス自身は貧しい黒人の少年だったが、そのギャンブルに勝ったことを自認して

    貧しい少女が妊娠するのは合理的な行動 - himaginary’s diary
  • 都市は環境に優しい - himaginary’s diary

    とEd GlaeserがThe European誌のインタビューに応えて語っている(Mostly Economics経由)。 The European: As an economist, you have a very pragmatic approach to cities. Let’s begin with one of your thoughts: Cities help preserve the environment precisely because they keep people away from it. Glaeser: That is right. It is somewhat counterintuitive but all that is leafy is not necessarily green – living around trees and living

    都市は環境に優しい - himaginary’s diary
  • スティグリッツの構造改革論・続き - himaginary’s diary

    昨日紹介したスティグリッツの恐慌論への反応のうち、Roweの批判とそれに対するデロングの擁護論は、専ら理論面に焦点を当てていた。 一方、ライアン・アベントは、そもそも実際のデータがスティグリッツの議論と整合的でないことを指摘した。その後、サムナーも昨日のエントリで、実証面でスティグリッツの議論がすべて――どれか一つではなくすべての段階で――恐ろしく説得力に欠ける、と批判した。 アベントの指摘は概略以下の通り。 2008年も1929年も最初の12ヶ月の経済の悪化は似たようなものだった。しかし、当時は中央銀行が引き締め策を取ったのに対し、今回は蛇口を開けた。その結果、1930年代当時は鉱工業生産が40%近く低下し、失業率が25%を超えたのに対し、今回はそれぞれ13%の低下と10%強であった。そのことからすると、金融政策が無効だったという結論ではなく、それは重要であり、更なる緩和策がもっと今回の

    スティグリッツの構造改革論・続き - himaginary’s diary
  • スティグリッツの構造改革論 - himaginary’s diary

    スティグリッツがヴァニティ・フェアに書いた大恐慌および大不況に関する記事(H/T Mostly Economics、Economist's View)が波紋を呼んでいる。 以下はその抜粋。 ...the inability of the monetary expansion to counteract this current recession should forever lay to rest the idea that monetary policy was the prime culprit in the 1930s. The problem today, as it was then, is something else. ... The underlying cause was a structural change in the real economy: the wide

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  • 第一種過誤を恐れる物理学者、第二種過誤を恐れる経済学者 - himaginary’s diary

    CERNが光速を超えるニュートリノを観測したという今話題の発見に事寄せて、Econospeakでピーター・ドーマンが経済学者と物理学者の統計的過誤への態度の違いについて論じている。 以下はその概要。 今回のOpera(Oscillation Project with Emulsion-Tracking Apparatus)チームの発見について、プロジェクトに関わっていたメンバーの中には自分の名前を出さないように要請した者もいたという。 その理由は、これだけ常識を覆す発見だと、誤りである可能性もまた大きいからである。測定誤差が12メートルあれば、結果は引っ繰り返る。 後に誤りと判明した発見に自分の名を連ねた物理学者は、経歴に回復不能に近い傷を負う。以前説明したように、自然科学者は第一種過誤(偽陽性)を非常に深刻に受け止めるのだ。反面、第二種過誤(偽陰性)はそれほど問題にならない。 一方、経済

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  • 有意と非有意の差は有意とは限らない - himaginary’s diary

    アンドリュー・ゲルマンの9/9ブログエントリと、同日付けガーディアン紙記事( Chris Blattmanブログ経由)が同じ論文を取り上げている。 その論文の内容とは、 ある効果が5%水準で有意 別の効果は5%水準で非有意 よって2つの効果は異なる という誤った推論*1を行った論文が、神経科学のトップ5の雑誌に掲載されたうち半数に達した、というもの(具体的には、513の論文を調査し、そうした誤りを行う可能性のあった157の論文のうち79論文が実際に間違えていた、との由)。 ゲルマンは、1世紀近くに亘って続いてきたこうした誤謬問題が、なぜ最近になって改めて脚光を浴びているのか、と訝っている。 ガーディアン紙記事では、正しい手順を踏んで改めて両者の差の検定を行うと非有意になることが多いので、研究者がわざとそうした推論を行っている可能性もある、という穿った見方を示し、そうした腐敗よりは無能の方が

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  • 東日本大震災で回避されたこと - himaginary’s diary

    Mostly EconomicsでCity JournalにClaire Berlinskiが書いた記事が紹介されていた。冒頭では阪神大震災と比較した東日大震災に対する彼女の評価が記されている。正直なところ小生にはその評価が正しいのかどうか判断が付きかねるが、以下に訳してみる。 地震危険度の削減は今日の世界が直面する都市政策にとって最大の課題である。それが言い過ぎだと思うならば、30秒で百万の人々が命を落とすようなことが他にあり得るかどうか考えてみて欲しい。それにも関わらず、地震に関する政策はあまり議論されることがなく、議論されたとしても誤解に満ちている。広島型原爆の6億倍のエネルギーを放出した3月11日の東日大震災を例に取ろう。続いて発生した福島の原子炉の部分的メルトダウンは原子力に対する国際的なヒステリー反応を引き起こしたが、それより遥かに致命的な脅威が回避されたことに気付いた人は

    東日本大震災で回避されたこと - himaginary’s diary
  • 産業政策を再考する - himaginary’s diary

    というハーバード大学経済学部教授のPhillip Aghionらによる小論をMostly Economicsが紹介している(原題は「Rethinking industrial policy」)。 その中で、Mostly EconomicsのAmol Agrawalが「Tariff protection leads to benefits in some cases. Did I hear that right?」と耳(正確には目だろうが)を疑った一節がこれ: On the empirical front, to our knowledge the most convincing study in support of properly designed industrial policy is by Nunn and Trefler (2010). They measure if tari

    産業政策を再考する - himaginary’s diary
  • イスラム神学校は過激派の温床か? - himaginary’s diary

    という微妙なテーマの論文をNY連銀が出している(Mostly Economics経由)。 以下にMostly Economicsの要約に沿ってその内容を紹介してみると…。 パキスタンの3種類の学校から1521人の男子学生を募り、実験を行った。3種類の学校とは イスラム神学校(4校) 学生の大部分は貧しい地方出身者。リベラル系大学の学生と比べた場合、両親の収入は約1/10で、父親の教育程度は1/2、母親の教育程度は1/4。 学生の自己申告の宗教度(0〜10):9.2 イスラム系大学(1校) 男女別学。イスラムの教義を教育。 学生の自己申告の宗教度(0〜10):6.3 リベラル系大学(2校) 米国と同様の共学の大学。英語の授業で西洋の思想を教育富裕層の子女向け。 学生の自己申告の宗教度(0〜10):5.3 信頼ゲームと独裁者ゲームの2種類を実施。被験者は両ゲームで送り手と受け手の両方を演じる

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  • 製造業フェチは誤りか? - himaginary’s diary

    Economist誌で、シーメンスのスポンサリングの下、製造業の重要性に関する討論が展開されている(Mostly Economics経由)。 ブログでもこれまで経済発展における製造業の重要性を訴える論説を幾つか紹介してきたが(例:ロドリック、Interfluidity+ロドリック、アンドリュー・グローブ、ディーン・ベーカー)、今回の討論で肯定論者の役割を担っているHa-Joon Changも概ねそうした論者の見解に沿った議論を展開している。以下はその概要。 製造業の基盤(=その規模と競争力)は一国の繁栄にとって最も重要な要素。 スイスとシンガポールのような金融立国/観光立国/貿易立国はどうなんだ、という人もいるかもしれないが、UNIDOによると、2002年の一人当たり製造業付加価値でスイスは日を抑えて世界一であった(値にして日を24%上回った)。2005年には、スイスは日に次ぐ2位

    製造業フェチは誤りか? - himaginary’s diary
  • 地産地消は環境に良くない - himaginary’s diary

    とEd Glaeserがボストングローブに書いている(原題は「The locavore’s dilemma」;Economist's View経由)。 その理由は以下の通り。 2008年のカーネギーメロン大学の2人の研究者の調査によると、米国産の物の消費は一家計当たり年間8.9トンのCO2に相当する温室効果ガスを生み出す。そのうち物の配送から生み出されるのは0.4トンである。また、農作物の供給網上の輸送から生み出されるものの総計は一家計当たり年間1トンである。 我々は、配送を縮減することによる環境へのベネフィットと、物を必ずしも最適ではない栽培地で生育することによる環境へのコストを比較衡量する必要がある。例: 最近の英国での調査によると、英国産のトマトの消費はスペイン産のトマトの消費の約3倍の温室効果ガスを生み出すという。寒い英国でトマトを生育することによって費やされる余分なエネルギ

    地産地消は環境に良くない - himaginary’s diary
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    ruletheworld 2011/06/21
    内容は別にいいんだが、都市部の土地を農地に使う非効率な使用法に地産地消という言葉を使用するのは不適切だろ。もちろん自動車と駐車場も環境に良くない点も見落とさないでねww
  • 電力供給問題に関する一愚考 - himaginary’s diary

    今夏に東日が直面する電力の供給制約問題に関して、現在計画されているような需要サイドの単純な一律削減策ではなく、価格メカニズムを導入してはどうか、という提言が経済学者よりなされている(cf. ここ)。市場メカニズムの導入という点では確かにいかにも経済学的で、単純な数量割り当てに比べて経済全体の効率性を高める案のように思われるが、一方で、こちらで指摘されているような制度導入のコストのほかに、価格安定性の放棄という犠牲も伴う。以下に、その得失を簡単な表にまとめてみた。 制度 価格の安定性 数量の安定性 停電の抑止 市場メカニズム 供給制約無し ◎ ◎ ◎ × 数量割り当ての導入 ◎ ○ ○ × 価格メカニズムの導入 × ○ △ ◎ 1行目の従来の供給制約がほぼ無い状況下では、価格は原油価格の高騰といった外生的要因を除けば安定性を維持しており、停電が起きない場合に各需要者が必要とする電力(ここで

    電力供給問題に関する一愚考 - himaginary’s diary
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    ruletheworld 2011/04/23
    市場以前に今夏に関して言えば需給ギャップは相当埋まったし、契約上本来こちらを優先的に履行すべき http://goo.gl/3oFHM 長期ではカリフォルニアと違って今後はスマートメーターの導入で前提も変わる
  • 笑う農業 - himaginary’s diary

    3/3エントリでは、その前日付けのロドリックのブログエントリの内容を紹介した。それは最近の彼の共著論文の主旨を要約したものだったが、少し前の2/25付けのエントリでロドリックは、同論文の副産物とでも言うべき発見をまとめている。 その発見は以下の図に集約される。 横軸は経済全体の生産性、縦軸は農業の相対的生産性である(ここで生産性は労働生産性を指している)。 経済が発展するに連れ、農業の相対的生産性は、一旦低下するが、その後また上昇する、というU字曲線を描く*1。 この傾向は、ある国のデータを時系列で追うことによっても確認できる。下図は、インド、ペルー、フランスの時系列データをつなげたものである。 3ヶ国の中で最も貧しいインドは、全体の生産性が増すに連れ、農業の相対的生産性は一貫して低下した。一方、3ヶ国の中で最も豊かなフランスでは、農業の生産性が、経済の他分野の生産性に追いつきつつある。富

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  • ラジャン「経済学者が危機に気付かなかったのは、単に気にしていなかったせいさ」 - himaginary’s diary

    ラジャンが2008年末の英国女王の質問とそれへの回答*1になぜか最近になって反応し、次のようなことを書いている。 なぜ経済学者は危機に気付かなかったのか、という女王の質問に対しては、幾つかの回答があった: 単に経済学者が危機に導いた行動を説明できるモデルを持っていなかった。 自由で何の束縛も受けない市場が間違うはずが無い、というイデオロギーに経済学者の目が曇らされていた。 システムが経済学者を買収して黙らせた。 ラジャンの見方では、真実は別にある。 起きたことを説明する有用なモデルを経済学界は持っていなかった、というのは事実では無い。危機の原因が流動性不足にあると信じるにせよ、あるいは、政府の救済を当て込んだ欲の皮の突っ張った銀行家や物を考えない投資家、もしくは根拠なき熱狂に浮かされて突っ走った市場にあると信じるにせよ、そうしたことはいずれも詳細に研究されていた。 経済学者は規制や規制緩和

    ラジャン「経済学者が危機に気付かなかったのは、単に気にしていなかったせいさ」 - himaginary’s diary