ドイツでは2011年7月まで、徴兵制が敷かれていた。ドイツ在住の永冶(ながや)ベックマン啓子さんの息子も9カ月間、陸軍の歩兵部隊で訓練を受けた経験を持つ。 ▼ひ弱で太り気味だった18歳の男の子は、生まれ変わったように壮健な19歳の青年となって帰ってきた。「息子の体験は大いに日本の若者教育の参考になる」と啓子さんはいう(『息子がドイツの徴兵制から学んだこと』祥伝社新書)。 ▼集団的自衛権をめぐって、民主党が徴兵制と結びつけた議論を執拗(しつよう)にふっかけている。政府見解では、徴兵制は、憲法18条が禁じた「意に反する苦役」にあたる。ただ、石破茂地方創生担当相は、国民みんなで民主主義国家を守るという立場から、苦役とする発想に違和感を覚えるという。 ▼それでも著書のなかで、はっきり徴兵制に反対と、言い切っている。現代の軍隊は、高性能の兵器を使いこなす、超プロフェッショナルの集団でなければならない