富士山が世界文化遺産に登録されれば、入山者が増えることが見込まれ、自然保護やゴミ問題への対策が急務という声が相次いだ。 「ただでさえ富士山は今、オーバーユース状態なのに、これからさらに人が増えるのか」。山梨県富士吉田市松山の貸別荘経営の男性(62)は、勧告に複雑な思いだ。 富士山の登山者数は2005年は約20万人だったが、08年以降、30万人前後で推移。登山客の増加に伴い、交通渋滞や自然破壊が問題になってきた。 8月の週末などは登山客が殺到し、登山道には行列もできる。男性は「世界の山になるのは良いが、入山規制や観光業者のおもてなしの徹底など受け入れ態勢が追いつくのか」と焦りにも似た思いを抱いている。 山梨、静岡両県で富士山の環境保全を続けるNPO「富士山クラブ」(山梨県富士河口湖町)の青木直子事務局長(49)も「世界文化遺産になるということで芸術や信仰が強調され、環境への意識が薄れがちにな