経済産業省の現職キャリア幹部にインサイダー取引疑惑が浮上した。産業政策を推進する同省は企業の内部情報に触れる機会が多く、関係者は「幹部がそんなあからさまな不正をするなんて……」と当惑した様子を隠さなかった。 疑惑が持たれている資源エネルギー庁の前次長(52)はかつて、ITを中心とした商務情報政策局担当の審議官として、リーマン・ショック後に経営不振に陥った半導体大手、エルピーダメモリ(東京都中央区、東証1部上場)の企業救済策を担当。日本経済に打撃を与えかねない企業に公的資金を注入する改正産業活力再生特別措置法(産業再生法)を初めて使ったケースとして注目された。その支援策をまとめる裏側で不正な株取引が行われていたことになる。 同省を巡っては05年、情報通信機器課の係長(当時)が、事業再編のため産業再生法適用を申請した企業が株式公開買い付けを公表する前に株取引を行っていた事件が発覚。係長は当時、