【バンコク=塚本和人】オーストラリアのラッド政権が28日、南極海での日本の調査捕鯨の廃止を求めて来週にも国際司法裁判所(ICJ)に提訴すると明言した。豪州では年内にも総選挙が行われる見通しで、内政面で逆風にさらされるラッド政権は、反捕鯨の国内世論を背景に強い姿勢を打ち出さざるをえなくなったことが理由に挙げられる。 豪側は提訴の法的根拠を明示していないが、豪ニューサウスウェールズ大学のデイビッド・リアリー上級研究員によると、日本の調査捕鯨が科学目的での捕鯨を認めた国際捕鯨取締条約に違反しているとの観点から提訴する可能性が高いとみられる。一方、日本側は同条約に基づいて合法的に調査捕鯨を行っており、「裁判に持ち込まれても負けることはない」(日本政府関係者)との立場だ。 豪州が提訴の理由の一つとしている国際捕鯨委員会(IWC)での交渉は、6月末からモロッコで開かれる年次総会に向けた詰めの協議が