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前回のエントリーで行動遺伝学を紹介したが、ちくまプリマー新書の一冊として刊行された『生きづらさはどこから来るか』は、進化心理学や行動遺伝学を中高生でもわかるように説明したとてもいい本だ。 著者の石川幹人氏は情報工学の専門家で、超心理学の研究でも知られているが、近年は進化論に基づいた新しい心理学の入門書を積極的に執筆している。そのなかでもこの本は、「なぜ生きることはこんなにつらいのか?」という問いに対して、科学的に正確に、かつ誠実にこたえようとしている。 進化と遺伝についての説明をした後、石川氏は、世界が残酷で理不尽である理由を述べる。“残酷”というのは、遺伝の影響は私たちが思っているよりも大きく、神経症や精神疾患を含む性格の半分は遺伝で、能力にいたっては8割ちかくが遺伝によって決まってしまう、ということだ。“理不尽”というのは、高度に文明化した社会では特定の能力を持つひとだけが優遇されると
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