葬儀の簡素化が進んでいる。火葬だけで済ませる「直葬」や近親者で見送る「家族葬」のほか、遺骨の一部を身近に置く「手元供養」を選ぶ人も。少子化に伴う墓の継承難や、葬儀費への不信感が背景にある。時代とともに弔いの形が変わりつつある。(文化生活部・黒川裕生) 昨夏、夫を亡くした神戸市垂水区の保田博子さん(71)は直葬を選んだ。夫克己さんは200万円以上かかった母親の葬儀後「豪勢な式は要らない」と念を押すようになり、遺志を酌んだ。克己さんの生家の墓には納骨せず、永代供養にして一部は地蔵の形の陶器に入れ身近に置いている。結果的に費用は通常の葬儀の約10分の1で済んだ。 「身の丈に合わない立派な式や管理が大変なお墓を残すより、子どもたちに少しでもお金を残してやりたかった」と保田さん。自身も同様の葬儀を考えている。 ■ 家族葬35万円、一般葬(小規模)50万円‐。 西宮市の葬送業「あんしん」の提示価格