(2011年5月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 先日、英エコノミスト誌に務めていた頃からの友人に行き合った際にこんな問いを突きつけられた。「どうして君のコラムはいつもあんなに悲観的で重苦しいんだい?」 そんなことはない、と筆者は早速反論を開始した。ところが、『Zero-Sum Future(ゼロサムの未来)』などという、これから悪いことが起こるぞと言わんばかりのタイトルで新刊を出したじゃないかと指摘され、言葉に詰まってしまった。 そこで否定から説明に切り替えた。 ユーロ圏の債務危機、米国の財政赤字、米中の対立・・・ いいかい、西側諸国は今、経済と政治の深刻なトラブルに見舞われている。欧州は債務危機に陥り、単一通貨ユーロの将来と欧州連合(EU)の社会的安定性が危ぶまれている。米国は財政赤字をコントロールできないうえに、子供じみた政治や、国が衰退しつつあるという誰にでも分かる感覚に対