前回コラムでは、日増しに人材育成市場となりつつある中国で、日本企業として獲るべき人材は、中堅大学卒業生であることを述べた。北京大卒や清華大卒といった超エリートよりも会社に対して忠誠心を抱きやすく、「私を雇ってくださった。感謝したい」という真心を持って働いてくれるからだ。 背景には、大学進学率35%、毎年600万人の卒業生のうち100万人が職に就けないという酷な状況がある。多くの若者が衣食住という基本的なことに「安心感」を持って生活することできないでいる。特に北京、上海などの大都市では、「明日、どうなるか分からない」という心境で暮らす若者が続出している。 日本でも話題になった「蟻族」はいまだに増え続けている。大卒でありながらよい給料の職に就けない、高学歴ワーキングプアたちだ。彼らは、将来に備えて節約するため郊外のアパートをシェアして集団で暮らし、毎日、3時間以上かけて都市へと通勤する。 中堅