広島県の南東部に位置する尾道市は、瀬戸内海と山々に囲まれた街。平地が少なく山肌に住宅が密集しているため「坂の街」として有名だ。その一方で、大正期には志賀直哉などの文豪が居を構え、また映画の舞台としても度々登場したことで人気を博している。そのため、「文学の街」「映画の街」などの愛称で紹介されることも多い。 そんな尾道市だが、現在は高齢化と空洞化が進み、中心市街地に空き家が増加しているという。その状況を打破するために発足されたのが「尾道空き家再生プロジェクト」。住人を失った家を再生し、新たに活用していくことを目的にした活動だ。同プロジェクトが始まったきっかけについて、代表の豊田雅子さんは次のように語る。 「空き家のなかには建築的価値が高いもの、個性的なもの、景観が優れているものなど、さまざまな魅力を持つものがあり、その使い道が模索されていました。そこで2007年にコミュニティ、建築、環境、観光