【ワシントン=犬塚陽介】リビアの反体制派が国連の承認の下でカダフィ政権側への空爆を求める中、米政府には軍事介入への懐疑論が広がっている。最も現実的な選択肢とされるリビア上空での飛行禁止区域設定も、制空権確保のため事前の空爆や大規模な空軍戦力の投入が不可欠だ。巨額の財政赤字を抱え国防費削減に取り組む中、アフガニスタンやイラクに続く“戦線拡大”を避けたいという本音も透けてみえる。 ゲーツ国防長官は2日の米下院公聴会で、飛行禁止区域設定には「リビアの防空態勢の破壊から始めなければならず、大規模な軍事作戦が必要になる」と証言し、国際社会の足並みがそろわない段階での軍事行動に慎重姿勢を示した。 飛行禁止区域は、1990年代前半、湾岸戦争の後に米英軍の主導によりイラク南北部で、北大西洋条約機構(NATO)主導でボスニア紛争の際に設定された。制空権確保のため違反機と交戦したり、ミサイルの標的となる場合も