著者のランド・ポール上院議員は、アメリカで最も注目を集める気鋭の政治家の一人である。 2011年に初当選したばかりの新人議員ながら、2016年共和党大統領選候補世論調査で「大統領にしたい政治家ランキング1位」に七度も輝き、ワシントンの政治アナリストたちを大いに驚かせた。また、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に2013年から2年連続で選ばれるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いである。 なぜ、彼はそんなに人気があるのか。アメリカ政治の歴史的潮流をひもとけば、自ずとその理由は明らかとなる。 アメリカ合衆国は、イギリスからの独立を勝ち取るために、個々の民兵団(Militia)や個別の邦(State、一般に州)が団結し、連邦(Federation)を形成したのが、その興りである。そして独立戦争に勝利した後も、連邦政府の役割は軍事や外交などごく一部に厳しく制限された。 当時のアメリカの人々は、