野田佳彦内閣が発足した。東日本大震災や福島原発事故など、未曽有の危機のさなかに政権を引き継いだ責任はことのほか重い。 野田首相は、菅直人政権による失政と政治空白により停滞していた「復旧・復興」を最優先課題とし、産業の空洞化を食い止めると明言した。日本を没落の危機から救い出せるかどうかは、首相の実行力にかかっている。 だが、この布陣は大いに疑問である。玄葉光一郎外相や安住淳財務相ら40歳代の重要閣僚起用で世代交代を図った意欲は買えるが、力量は未知数だ。最大の問題は小沢一郎元代表に近い勢力を含め、各グループから入閣させる党内融和路線を優先させたことだ。 ◆「靖国不参拝」は残念だ 首相に必要なのは、このような内向きな配慮ではない。菅前首相の思いつきの「脱原発」路線など日本を壊してきた政策をいかに現実路線に転換させ、政治の歯車を前に回せるかである。 まず、野田首相自身の政治理念が問われている。 首