野田佳彦新政権は、東京電力福島第1原発事故を受けた今後の原子力政策について、「経年劣化」によって老朽化した原発を順次廃炉としていく方針を打ち出している。野田首相は、原発新設についても、「現実的に困難」との立場だ。稼働中の原発を寿命とされる40年で廃炉にし、建設計画をすべて中止すると、2049(平成61)年には国内の原発はゼロになる。原発ゼロでエネルギー需要を賄えるのか。原発技術も放棄してしまうのか。「リプレース」と呼ばれる建て替えも含め、大局的な議論が欠かせない。 国内では、平成21年12月に運転を開始した北海道電力泊原発3号機以降、新しい原発はできていない。 事故以前の電力各社は、新規立地の同意取り付けが難作業であることから、既存の原発を最大限活用し、段階的に新規原発に切り替えていく考えだった。 その切り札が、40年を超えても運転を継続できるようにする「長寿命化」の取り組みだ。保守点検作