経済産業省資源エネルギー庁の吉野恭司原子力政策課長が昨年12月、政府の原子力委員会に対して「脱原発シナリオの分析を行うことは、慎重派を勇気づける材料にはなっても、原子力を維持する材料にはならない」などとする文書を示し、脱原発の検討を当面控えるように要請していたことが3日分かった。枝野幸男経産相が同日の閣議後記者会見で明らかにした。枝野経産相は文書について「個人的に作成されたメモ」としながらも「政府が原発維持を画策していると受け止められてもやむを得ない」と指摘した。経産省は同課長を厳重注意処分とした。 経産省によると、同課長は昨年12月、原子力委員会の近藤駿介委員長を訪問。東京電力福島第1原発事故を受けて、原子力委が設置した核燃料サイクルに関する検討小委員会の議論の進め方を話し合った際、同課長は政府が将来の原発依存度をどうするかの方針を決定する前に、原子力委が「脱原発」シナリオを前提に核燃料