停電はめったにない。電圧や周波数も安定している。そして、使いたいだけ供給してくれる。しかし、東日本大震災によって状況は一変した。安定的に電力を供給してきた原子力発電所が相次いで止まり、火力発電所を総動員しているものの、節電要請は被災した東日本だけでなく西日本へも広がっている。 原発への依存度を下げ、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる電力を増やしていくうえからも、それに柔軟に対応できるよう、電力体制の見直しが必要だ。 ◇発送電分離が浮上 その中で電力会社の発電と送電部門を分割する発送電分離論も浮上している。地域独占の電力会社が抱えるさまざまな問題が、原発事故を機に露呈している。それを抜本的に改めるには、分離が必要だという主張は理解できる。 ただし、その実現にはかなり高いハードルがある。大きな目標を掲げたものの、それにしばられ暗礁に乗り上げてしまったということになっても困る。より現実的