石川県輪島市の能登半島沖で保護され、仮上陸が許可された脱北者9人は彼らの希望通り韓国へ移送される見通しだ。 海上保安庁など警備当局は、脱北者を乗せた漁船が海岸からわずか6・5キロの海上で日本漁船に偶然発見された事実を深刻に受け止めるべきだ。また、脱北者の事情聴取は慎重かつ徹底して行うべきで、韓国への移送をむやみに急いではならない。 脱北者を発見した能登半島沖は地勢的にも北朝鮮に近く、昭和52年には能登町の宇出津(うしつ)海岸から久米裕さんが拉致されたことも分かっている。最も警戒を強めるべき海域だった。 脱北者を乗せた漁船は小型の木造船だったことから波間に隠れ、レーダーで捕捉されなかった可能性も指摘されている。 だが、昭和55年、北朝鮮の大物工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者が原敕晁(ただあき)さんを拉致した際には、ゴムボートを使用したことが判明している。小型の木造船を「想定外」と切り捨