2011年11月04日01:32 カテゴリ科学/文化 開国と攘夷 TPPをめぐる政治家の動きは、尊王攘夷で騒いだ幕末を思い起こさせる。丸山眞男の有名な論文「開国」(『忠誠と反逆』所収)は、この前後の日本の動きを精密に読み解いている。当初は開国を決めた徳川幕府に対する反乱だった尊王攘夷が、いつの間にか開国に変わった経緯については、いろいろな説があるが、丸山が重視するのは、身分制度に対する反抗そのものが開国のエネルギーを内包していたということだ。 徳川幕府は、戦国時代のダイナミックな割拠状態を「凍結」することによって平和を保っていた。そこでは徳川家は他の大名の上に立つ絶対君主ではなく、圧倒的に大きな「天領」をもつだけのfirst among equalsにすぎない。その地位は不安定だったので、幕府は徹底的な相互監視システムをつくり、人々を各藩の土地に縛りつけ、鎖国によって海外との交流を断ち切る