先の記事でも引用しましたが、名著の文庫版が出たので再読しました。超おすすめです。 冷戦時代、日本の安全保障に関する議論は、著しい貧困状態にありました。防衛を論ずること=軍国主義というようなイメージの強い時代にあって、かつ国内法に関する法理的な議論が多くを占める状況では、戦略を論じる以前に語るべきこと、語れないことが共に多すぎたのでしょう。 しかしそんな時代の制約にあって、永井陽之助を始め、戦略家と言い得る少数の人物を持てたことは、日本の知的な豊かさを示すものです。 本書は、タイトルのとおり、歴史を参照しながら、戦略を論じる本です。第二次世界大戦、日露戦争、そして現在の出来事であったベトナム戦争らの例をひきつつ、抑止、情報、攻勢と防御、そして目的と手段と均衡といったトピックを論じています。 もとは「現代と戦略」という本で、その後半部分を再編して文庫化したものです。さらに元は昭和59年に文藝春
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