私がいくら「SIや受託ソフトウエア開発のビジネスに先は無い」と言っても、あるいはITベンダーの多くの技術者が「このまま御用聞き商売、人月商売を続けているとマズイ」と思っていても、ITベンダーの経営者には「うちは大丈夫」と高をくくっている人が多い。しかも、明確な根拠に基づくものだから始末に悪い。 その根拠とは、IT業界の人月商売、多重下請け構造を顧客として強力に支える銀行、生損保などの金融機関の存在である。いつも引き合いに出して恐縮だが、みずほ銀行のシステム統合プロジェクトには天文学的な工数を費やす。このような大規模プロジェクトはIT業界の技術者を大量にバキュームするから、結果として人月商売の需給関係が引き締まり多重下請け構造の末端まで潤う。 もちろん、天文学的な大規模プロジェクトはそうあるわけではなく、プロジェクトが終了すれば需給が一気に緩む。だが、金融機関を顧客にするITベンダーにはそん