1.セクシュアル・ハラスメントに対する典型的な弁解 酒席でのセクシュアル・ハラスメントに対し、加害者側から「酒に酔っていて記憶にない」と弁解されることがあります。 しかし、このような弁解は、不利に働くことはあっても、有利に働くことは先ずありません。 先ず、酒に酔っていたことは、言動の違法性を阻却する事由であるとも、責任を減免させる事由であるとも考えられていません。酒に酔っていたとしても、裁判所は気にせず不法行為の成立を認めますし、これを損害額の算定にあたり加害者の有利に考慮することはありません。 また、「酒に酔っていて記憶にない」などと記憶が怪しいことを自認してしまうと、「セクシュアル・ハラスメントと捉えられかねないような言動はしていない」という主張、供述の足を引っ張ることになります。事実認定権者に「記憶にないのに、なぜ、言動をとっていないと分かるのか?」という疑問を生じさせるからです。被