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ブックマーク / at-akada.hatenablog.com (15)

  • Jonathan Gilmore, Apt Imaginings - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    Apt Imaginings: Feelings for Fictions and Other Creatures of the Mind (Thinking Art) (English Edition) 作者:Gilmore, JonathanOxford University PressAmazon ジョナサン・ギルモアのApt Imaginingsを5章まで読んだので紹介する。書はフィクションの哲学に属するかなり新しめの単著である。主にフィクションに対する感情を主題としている。フィクションへの感情を扱う哲学のというと、「フィクションのパラドクス(どうして存在しないものに感情を抱くのか)」といった問題などをイメージする人もいるかもしれないが、書のテーマはその種の古典的な問題ではない。他では類を見ない新しい問題を扱った著作だ。 内容を紹介する前に先に書の良いところと悪いところを紹

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  • ノエル・キャロル『ホラーの哲学』の翻訳が出ます(3) - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    第一回 第二回 ノエル・キャロル『ホラーの哲学』の翻訳が出ます。 filmart.co.jp ユリイカ2022年9月号 特集=Jホラーの現在にも書いています。 www.seidosha.co.jp 紹介 - ホラーの詩学 断片的にいくつか紹介してきましたが、『ホラーの哲学』を、トータルに紹介することもしてみようと思います。 『ホラーの哲学』とはどんなか。ふたつの軸で整理するならば、縦軸は「ホラーの詩学」であること、横軸がパラドックスであるという整理を思いつきました(縦と横は特に意味がないのでどっちがどっちでもいいです)。おおむねふたつとも「序」に書いてあることですが。 「ホラーの詩学」とは何かというと、要するに〈制作〉の観点からのホラー論であるということです。 キャロルの言い方で言えば、「アリストテレスが〔『詩学』で〕悲劇に対して行ったことを、ホラージャンルに対して行う」(p.8)。アリ

    ノエル・キャロル『ホラーの哲学』の翻訳が出ます(3) - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
    murashit
    murashit 2022/08/26
  • ノエル・キャロル『ホラーの哲学』の翻訳が出ます(1) - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    まえおき ノエル・キャロル『ホラーの哲学』の翻訳が出ます。出版社の告知ページも出たので宣伝していきます。 filmart.co.jp たまたまタイミングが合って、ユリイカ2022年9月号 特集=Jホラーの現在にも書いています。 www.seidosha.co.jp このふたつの仕事が重なったため、すっかりホラーづいており、毎日何がしかのホラー映画、ホラー小説を摂取している夏です。 翻訳出版に合わせて『ホラーの哲学』の宣伝をしていきたいと思います。 紹介 まずは目次。章タイトルなどはまだ仮です。 目次(仮) 序 書が置かれた文脈 ホラージャンル摘要 ホラーの哲学とは? 第一章 ホラーの質 ホラーの定義 まえおき 感情の構造について アートホラーを定義する アートホラーの定義に対するさらなる反論と反例 幻想の生物学とホラーイメージの構造 要約と結論 第二章 形而上学とホラー あるいはフィク

    ノエル・キャロル『ホラーの哲学』の翻訳が出ます(1) - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
    murashit
    murashit 2022/08/15
  • Kathleen Stock, Only Imagineを読んだ - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    Only Imagine - Kathleen Stock - Oxford University Press Only Imagine: Fiction, Interpretation, and Imagination 作者: Kathleen Stock出版社/メーカー: Oxford Univ Pr発売日: 2017/11/07メディア: ハードカバーこの商品を含むブログを見る 第一回はこちら。 Kathleen StockのOnly Imagineを最後まで読んだので紹介しよう。前回書いた通り、書は、美学における二つの領域──(1)フィクションと想像、(2)作品解釈──に関わる著作だ。虚構的真理、フィクション、想像といったフィクションの哲学のトピックを幅広く扱っているし、同時に、作品解釈に関する意図主義と反意図主義の対立を扱っている。 書の大きな特徴と私が考えるものをあげる。

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  • フィクションの哲学のニューウェイブ: エイベルの『Fiction: A Philosophical Analysis』 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    Fiction: A Philosophical Analysis (English Edition) 作者:Abell, Catharine発売日: 2020/06/10メディア: Kindle版 まえおき: フィクションの哲学の現状 最近出版されたキャサリン・エイベルのFiction: A Philosophical Analysisという著作を紹介したいのだが、最初に「フィクションの哲学」と呼ばれる分野の現状について簡単に紹介しておく。 わたしがやっている分析哲学系のフィクションの哲学という分野は、大まかには形而上学・言語哲学系統のものと、美学系統のものに分けられる。 美学系統のフィクションの哲学は九十年代に確立された。もう少し詳しく言うと、九十年代初頭に出た三冊の、すなわちケンダル・ウォルトンのMimesis as Makel-Believe、グレゴリー・カリーのThe Natu

    フィクションの哲学のニューウェイブ: エイベルの『Fiction: A Philosophical Analysis』 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
  • Francesco Berto「様相的マイノング主義とフィクション: 三つの世界で最善のもの」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    http://philpapers.org/rec/BERMMA Berto, Francesco (2011). Modal meinongianism and fiction: The best of three worlds. Philosophical Studies 152 (3):313-35. 1. フィクションの方法論: 最小の修正と受容の制約 2. 内的言説と外的言説 3. 素朴マイノング主義と核的マイノング主義 4. 虚構主義 5. 実在論、de re的ふりとde dicto的ふり 6. 圧縮されたMMMの紹介 6.1 不可能世界 6.2 制限された包括原理 6.3 存在-帰結 7. 形式的なMMM意味論 8. MMMの正確さ 9. 結論 マイノング主義というのは存在しない対象を認める立場。 様相的マイノング主義というのはプリーストなどの立場で、普通のマイノング主義と違

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  • 機械学習と理解は対立するか - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    (この記事は書きかけでしばらく放置していたのだが、何となく機運が高まったので、公開することにした) 理解とディープラーニングの対立? 現在は第三次AIブームということで、毎日のように、AIやディープラーニングに関連するニュースを耳にする──これはまあわたしが積極的にその手の情報を集めているせいもあるのだが、おそらく関心のない人も、「何かAIがすごいらしい」という話をよく聞くなという印象くらいはもっているのではないだろうか。たとえば最近は、人間が書いた文章とほとんど見分けのつかない文章を生成するGPT-3が話題になっている*1。 わたし自身は、最近は仕事でディープラーニングを使うようなこともやっているし、論文を読んだり、自分でディープラーニングのモデルを実装したことも何度かあるので、まあその手の情報に詳しい方だと言っても問題はないだろうと思う──もちろん機械学習の研究者ではないので、あくまで

    機械学習と理解は対立するか - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
    murashit
    murashit 2020/09/26
    「理解」というのがそもそも、積極的にブラックボックスに押し込めるためのことばづかいだったのかもなあと感じた
  • 『失われた時を求めて』を読み終わった - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    ついに『失われた時を求めて』の最終巻である14巻を読み終わった。記録によると、2019年4月1日に1巻を読み終わっているので、およそ1年ちょっとの間、読みつづけていたらしい。ちなみに前半は光文社古典新訳文庫、後半は岩波文庫で読んだ(光文社版はまだ6巻くらいまでしか出ていないはず)。 つらい戦いだった。正直言ってこれまでの読書人生の中での最難関と思うくらいにはつらかった。何がつらいかというと、途中までまったくおもしろさがわからなかったことだ。8巻くらいでようやくコツをつかみ、それ以後は楽しく読めるようになったのだが、そこにいたるまではまったくおもしろさがわからず、当につらかった(むしろその状態で8冊も読んだという我慢強さに感心してほしい)。 何がつらかったか。ひとつには趣味の問題がある。小説というものを、仮に、「何が起こったか(出来事)」と「それに対して何を感じたか(思念)」の2つの構成要

    『失われた時を求めて』を読み終わった - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
    murashit
    murashit 2020/05/07
  • 『アーカイブ騎士団011 会計SF小説集』(第二十九回文学フリマ東京) - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    会計SF小説集 追記: kindle版も出ています。 第二十九文学フリマ東京に参加します。新刊『会計SF小説集』が出ます。小説アンソロジーです。 項目 内容 開催日 2019年11月24日(日) 場所 東京流通センター 第一展示場 サークル アーカイブ騎士団 ブース ク-15 Webカタログ https://c.bunfree.net/c/tokyo29/!/%E3%82%AF/15 サークル過去作はこちら。 会計SFとは何かについて一応説明しておくと、SFはサイエンスとテクノロジーの文学であり、会計はテクノロジーなので、会計についてのSFも存在するというわけです。存在するというか、このの出版によって創設されました。 以下掲載作の一行紹介と文サンプル。これ以外にも短篇と、日商簿記2級受験記が載ります。 「簿記とAI」高田敦史 文サンプル この小説を書くために簿記2級を取りました。唯一

    『アーカイブ騎士団011 会計SF小説集』(第二十九回文学フリマ東京) - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
    murashit
    murashit 2019/11/13
    いつもテーマ設定がおもしろいんだけどどうやって決めてんだろう……
  • 「図像的フィクショナルキャラクターの問題」が公開されました - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    一応こちらでも告知。論文「図像的フィクショナルキャラクターの問題」が応用哲学会誌Contemporary and Appied Philosophyで公開されました。去年の発表を加筆修正して論文化したものです。よろしくお願いします。 http://openjournals.kulib.kyoto-u.ac.jp/ojs/index.php/cap/article/view/146

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  • スタンフォード哲学事典でよく参照されている文献のランキング - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    前回に引きつづき、今度は参考文献ランキングを調べた。 名前の表記ゆれ、フォーマットのゆれが多くて大変だった。 まずフォーマットが全然統一されていない。 よくあるのは以下みたいなのだけど、 Davidson, Donald, 1963. “Actions, Reasons, Causes,” in Davidson 1980: 3–19 年が()に入ってることもある。 Fairweather, E. R. (1995) A Scholastic Miscellany. Westminster: John Knox Press. Excerpt from Abelard's commentary on Romans. 年がうしろにあるパターン。 Brittain, C., Philo of Larissa (Oxford 2001), 345–70. 特定の哲学者の一次文献一覧が著者情報なしで

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    murashit
    murashit 2014/05/04
    ほへー
  • アーカイブ騎士団『ロボット小説集』kindleストアで販売開始しました - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    ロボット小説アーカイブ騎士団 作者: アーカイブ騎士団出版社/メーカー: アーカイブ騎士団発売日: 2012/11/18メディア: Kindle版購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (2件) を見るhttp://www.amazon.co.jp/dp/B00ADYPXJQ/ 先日文学フリマで販売した新刊『ロボット小説集』の電子書籍版をkindleストアにて販売開始しました。 紹介文 かぎりなく純粋な情報になりたいアナタのための超感覚バラエティー! 時は31世紀。ロボット、人、宇宙人が共生する未来社会。形而上学を武器に、脅威のテクノロジーと戦う形而上学刑事、古の学園生活を再生しつづけるロボットたちによる学園コメディ、他。大きな巨人アーカイブ騎士団によるおてんばロボット小説集!! よろしくお願いします。 文サンプル http://www.pixiv.net/novel/

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    murashit
    murashit 2012/12/23
    買った
  • John Broome「規範的要請」 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    John Broome (1999). Normative Requirements. Ratio 12 (4):398–419. http://users.ox.ac.uk/~sfop0060/pdf/normative%20requirements.pdf 「なぜ合理的であらねばならないのか Why be rational?」という問題に関心があります。「なぜ道徳的であらねばならないのか Why be moral?」の方が注目される傾向にありますが、個人的に重要なのはこちらです。なぜわれわれは不幸と信じるものを避けなければならないのか?なぜわれわれは幸福と信じるものをめざさなければならないのか?自分にとってもっともよい選択肢と信じるものを選ぶべきなのはなぜか?*1 「なぜ?」と問われても答えようがないかもしれませんが、もし答えがでないならばでないなりに、なぜそうなのかということが気にな

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  • 応用哲学会にエントリーしました - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    http://wwwsoc.nii.ac.jp/jacap/ 多少変更される可能性はありますが、一応↓こんな内容を発表しようかと思っております。 不幸の哲学 - 不幸は過去からどれだけのものを奪い去るか 害あるいは不幸は、福利論、道徳哲学、行為の哲学におけるきわめて重要な概念のひとつである。他人に害を与えることは道徳的不正の代表的な例であり、合理的主体には害を避ける理由がある。さらに、危害原理Harm Principle(人々は自らの行為が他人を害しないかぎりにおいて自由である)に見られるように、政治哲学にかかわる概念でもある。 また近年では、特殊な害のひとつである「死の害」に関する哲学的議論が盛んである。死の害を巡る議論が、害一般についての議論にも影響を与え、Hanser,Thomson, Bradleyなどの論者が害の哲学に取り組んでいる。 発表が問題にするのは、この害という概念と時

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    murashit
    murashit 2012/04/08
    過去の書き換えと合理性
  • しあわせ仮説 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

    しあわせ仮説 作者: ジョナサン・ハイト,藤澤隆史,藤澤玲子出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2011/07/06メディア: 単行購入: 12人 クリック: 226回この商品を含むブログ (12件) を見る 幸福に関する研究において、遺伝子が人の平均的な幸福水準に強い影響力を持つということに次ぐ大きな発見は、大半の環境的、人口統計学的要因は幸福にほとんど影響しないということである。 自分が以下のボブかメアリーのどちらかと入れ替わると想像してみよう。ボブは、35歳独身の白人で、魅力的なスポーツマンである。彼は、年収10万ドルで、陽光輝く南カリフォルニアで暮らしている。彼はとても知的であり、余暇は、読書をしたり博物館に行ったりして過ごしている。 メアリーは、夫と雪の多いニューヨーク州のバッファローで暮らしており、二人の年収は合わせて4万ドルである。メアリーは65歳の黒人で、太っており、地味

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