「まったく新しい選挙制度」 日本ではスピード衆院選があっという間に終わったが、香港では昨年延期された最高議決機関である立法会議員選がスタートした。立候補受付はすでに終わり、定員90に対して154人が立候補(その後資格審査を経て1人が資格喪失、後述)し、12月19日に予定されている投票日に向けて、候補者の選挙活動が正式に始まりつつある。 今回の選挙は、昨年6月に「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)が施行されて以来初めての選挙となる。この間に民主派が大量逮捕され、市民に人気だったメディアが廃業あるいは編集方針を大きく転換、また今年3月には新選挙制度が施行され、かつての市民がよく知る選挙とは、その形式も手順も、さらには選挙をとりまく環境すらもまったく違うものになった。 本稿では、中国や香港の政府官吏が「これまでの不足を補う、愛国者による香港治政」を目指すとする、その「まったく新しい選挙制度