<概要> 放射線の生物学的効果は、同一の吸収線量であっても放射線の種類や線量率によって異なる。高線量率で短時間に照射したときに得られる生物効果に比べて、線量率を下げて時間をかけて照射すると生物効果は減弱する。これを線量率効果という。このとき、同じ効果を得るのに要する線量の逆比を線量・線量率効果係数(DDREF)という。また、線量、線量率は同一でも小線量に分け間隔をあけて分割照射すると生物効果は減弱する。このような効果は照射中や照射後におこる細胞の回復によると考えられている。また、標的の大きさとトラック数の関係を考慮したマイクロドシメトリー的な考察では線量効果は線量レベルによって異なる。 <更新年月> 2002年10月 <本文> 1.線量率と生物学的効果 放射線の生物学的効果で問題となるのは放射線が生体構成物質に吸収されたエネルギーの量(吸収線量)と、単位時間当りの吸収線量(線量率)であるが