時空の狭間からよくわからないマイナー戦史を召還して皆様にお届けするサークル「RNVR花組」、2年ぶり7冊目の本は、「軍事機密の存在しない島々」で繰り広げられた、奇妙な情報戦のお話。『椰子の木陰の暗闘−委任統治領南洋群島における日本の防諜 :1922-1939』 です。 赤道以北のミクロネシアの島々は20世紀の前半の約30年間、日本の統治下にありました。この「南洋群島」は国際連盟委任統治領として、またワシントン海軍軍縮条約によって一切の軍事的利用が禁止されており、事実日本は太平洋戦争開戦のほんの1−2年前まで軍事基地の建設や部隊の駐屯を行っていません。しかし、表向き軍事機密の存在しないこの南の楽園は、同時に将来の戦場として日米両海軍が熱い視線を注いだ地域でもあったのです。 そんな地域で繰り広げられた、さきざきは軍事的に有用になる「かもしれない」情報をめぐる、なんとも奇妙であいまいなスパイ戦の