(2012年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 「これは、どうしてもやらねばならぬことなのです。もし皆さんが、馬にまたがる自分の像をいつか造ってもらいたいと望むのであれば」 欧州の将来について大胆な決断を下すよう仲間たちに促した時、ヴァレリー・ジスカール・デスタン氏は恐らく冗談でそう言ったのだろう。しかし、元フランス大統領のこの言葉は、現在の通貨ユーロを巡る大混乱を引き起こした心理を解き明かしてくれている。 欧州統合で歴史に名を残そうとした人々 欧州連合(EU)は今、前の世代の「偉大なヨーロッパ人」の過剰な自信がもたらした帰結への対応に追われている。通貨ユーロを生み出した人たち――ドイツのヘルムート・コール元首相や、ジャック・ドロール元欧州委員会委員長など――は、ジスカール・デスタン氏と同様に歴史に名を残したいと思っていた。 しかし、単一通貨をその中核に据えた、統合された欧州を遺