前回、金融危機を契機として製造業の利益の落ち込みが激しいことを見た。製造業が全産業のなかで大きな比重を占める日本としては、この産業構造を今後変えてゆかなければならないだろう。その際、参考となるのは、アメリカにおいて金融などの先端的産業が急速に復活していることだ。製造業の比率がかなり低くなっているアメリカの状況は、重要なモデルとなる。 そこで、産業間の違いの問題を、就業の側面から見ることとしよう。そして、そのような就業構造を実現するための教育制度などを考えることとしよう。こうした分析は、日本で未来のリーディング・インダストリーを考える際に、是非とも必要とされるものだ。 高報酬産業は知識集約産業 1人当たり年間報酬を見ると、産業間でかなりの差が見られる。とくに注目すべきは、金融業の1人当たり報酬の高さだ。【図表1】に示すように、2008年において、金融業は、製造業に比べて3割程度高い。 ただし