本堂脇の廊下に、風呂敷に包まれた骨箱が並ぶ。身元不明の遺骨が納められ、客殿で暮らす避難者とともに住職が毎朝本堂で読経し、慰霊する=2011年5月25日、岩手県釜石市の仙寿院で中村美奈子撮影 ◇土葬の遺体、国負担で「改葬」 骨箱に戒名納め葬儀も 発生から3カ月近くたった東日本大震災では、まだ遺体の見つからない人や、葬儀のできない人が少なくない。やむなく土葬に踏み切った自治体もある。2万3000人以上が死亡または行方不明となった被災地で、どんな葬送が行われているのか。 東京都の僧侶、中下大樹さん(36)は、震災1週間後、宮城県石巻市に入った。弟を津波で亡くし、市役所に火葬手続きに行く80代の女性に付き添った。 しかし火葬場はいっぱいだった。「自分で県外の火葬場を予約して搬送手段を見つけるか、葬儀社に頼むか、選んでください。土葬なら役所でやります」。そう告げられた。 当時、燃料不足で火葬場の稼働