安倍晋三内閣による戦後レジーム脱却の一つとして、道徳教育が論じられている。戦後教育のどこが戦前と違うのだろうか。私自身は最後の旧制高校生で大学も途中から海外に行ったので、偏向教育の実感が殆(ほとん)どない最後の世代である。今でも戦後教育世代に接するごとに違和感を禁じ得ない。 ≪声を大にした非難に違和感≫ 戦後教育の淵源は知っている。まずは米国の占領初期政策だ。あれほどの大戦を戦い抜いた日本人から未来永劫(えいごう)、精神的な戦闘能力を奪おうと、日本の歴史や伝統を徹底的に否定しようとした。 この政策は、冷戦が始まり最大の脅威が共産圏となるともう不要となった。その後、教育、出版、新聞労組による左翼偏向路線がそれを引き継いだ。共産側が日本を取り易(やす)くしておくには日本の潜在的戦闘能力、特に歴史と伝統を否定し精神的能力を完全に奪っておく必要があったからである。 ただ、戦後教育世代に違和感を持つ