「サマータイム法が通れば、あなたは不老不死を手に入れるのです」 あのとき、あの男はそう言った。もう、遥かな昔の話だ。 その頃の私は、ニホンという国で要職に就いていた。国のためにと思って身を粉にして働いていたが、国民が報いることはなかった。何をしても批判の嵐だ。 そんな私にあの男は近づいてきて、時間を貸してくれと言ってきたのだ。 まぁややこしい話なのでかいつまんで話すと、その男には時間を操る能力があり、ただ、その能力の原資は時計の針の狂いなのだという。狂った時計が間違えて測った時間が人間の意識から失われ、男の元にやってくるのだと。そして男は最近とある事情から莫大な時間が必要になり、その時間を工面するために私のところにやってきた。私がサマータイム法を通せば2時間の狂いが国民1億2000万人分手に入るのだと。それはもちろんタダで手に入れようとは思っておらず、私から借り受けて私に利子をつけて返す、
anond:20180906085723 anond:20180906170906 ←「消えた2時間 」を最初に読むと良いデス。 2018年秋の国会で、なし崩し的に成立してしまった日本サマータイム法への対応は、 遅々として進んでいなかった。 2019年6月のサマータイム導入テストは、延期に延期を重ねて、遂に年内に実行されることは無かった。 対応させるべき機器があまりにも多く、対応済み機器と未対応機器との間の膨大な組合せ数の通信テストは計画段階で既に5年掛かると予想された。 つまり・・・ピンチはチャンスとの森会長の言葉も虚しく、ピンチはピンチのままだったのである。 2020年1月 首相官邸 では、サマータイム実施の無期限延期について最終決断をするべく議論が続いている中、 サマータイムを強行に進めたい議員の一人が、京都大学理学部の年老いた教授を連れてきた。 その教授の名は秋月伸治郎といい、半世
anond:20180906085723 2018年秋の国会で、なし崩し的に成立してしまった日本サマータイム法への対応は、 東京オリンピックが終わった後の2022年になってもIT業界では粛々と進められていた。 リモートアップデートが可能な機器はオリンピック前後には対応が済んでいたが、 今行われているのは、ネット接続もされておらず、個別に分解してファームウェアを更新するしか手段の無い 平成時代の遺物と呼ばれる機器ばかりだ。 加藤健一もそんなファームウェア・アップデート職人の一人だった。 ある時、加藤は監視カメラのファームウェアのサマータイム対応がずさんであることに気づいた。 サマータイム終了時刻になると、なんと2時間巻き戻って直前2時間分の録画データを上書きしてしまうのである。 この性質を利用して完全犯罪はできないだろうか・・・? 大手都市銀行は既に更新も完了していてムリだろうが、地方銀行な
海野十三という人は、戦前大人気だったSF小説家である。日本SFの始祖とも言われている人だ。この人が太平洋戦争末期から書いていた日記が青空文庫にあがっている。 図書カード:海野十三敗戦日記 なんとなく小説家みたいな知識人、なかでも科学知識とかに詳しいSF作家は戦争中も反戦的だったのではないかと思いがちだが、まあこの人なんかはふつーに日本の正義を疑ったりしてないし、政府や軍の不甲斐なさを嘆くことはあっても、反戦的な傾向は見られない。まあ、当時の普通の人はこうだったのだろうと思う。海野十三本人は徴兵検査で不合格だったので兵士として出征した経験はないのだが、海軍従軍作家として巡洋艦に乗ることができ、大喜びしてたらしい。 「海野十三敗戦日記」は昭和19年12月7日から始まっており、当初「空襲都日記」と題されていた。東京が空襲を受けるようになって後日のために記録をとっておくことにしたと書かれている。海
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