そもそも、なんで手書き端末を作ろうと思ったのか。 手書きが未だに残っているからだ。 こんなにキーボードは便利なのに、まだ手書きが残っている。 なぜなんだ。 しかも手書きは、キーボードで文字を打つよりも遥かに雄弁で、むしろクリエイティブな気さえする。 その秘密を解き明かすために、手書き端末を作ってみた。 enchantMOONと呼んだそれは、まさに手書きとプログラミングへの狂気の産物だった。 いろんなことがありながら、それを作り、売り、そして出会いがあった。 特に北野宏明さんとの出会いは衝撃的だった。彼は僕が手書きに拘っているのを見て、すぐさま「ディープラーニングをやりなさい」と言った。 enchantMOONを作ったとき、「それはいったい誰が使うのか」と問われた。 そのとき僕は「いつか人類が紙を捨てるだろうときの代わりのためだ」と答えた気がする。 しかし紙は捨てられず、僕は自分の執務室にホ