大学生時代の私は祖父母の家に下宿させてもらっていた。私が小学生の頃に祖父が自分の手で建築した赤い煉瓦の外観のあの家*1は祖父母が二人で住むにはあまりに広すぎた。二つある冷蔵庫の中身もそうだ、食の細い老人二人分にしては多すぎた。祖母は貧困に喘いだ体験のためか冷蔵庫に何か詰めていないと落ち着かないようで、掃除したときなどは賞味期限切れの納豆と必ず対面できた。祖父は車を買い換えるのが好きで何年かに一度車を買い換えているし軽トラも含めガレージには三台の車が収まっている。ずっと前に乗っていたセフィーロを祖父はどうしても「せふいろ」としか発音できなかったし今乗っているディーダも「ていだ」である。もう一台のクラウンだけは「クラウン」と発音できている。金喰い虫をよくもまああれだけ所有していられるものだと社会人になって自分の車を持つようになった今だからこそ真に驚く。 虫といえば、築十年を過ぎた祖父母の家の庭