アメリカ実験音楽研究の、日本における第一人者として知られる柿沼敏江さん。第1回は、研究の道に入っていくきっかけとなった、ルー・ハリソン氏との出会いを中心に語っていただきました。そして、そもそも現代音楽に興味をもったのは、高校2年生の時だったと。音楽大学の楽理科受験を目指していた17歳の少女に起こった、人生を変えてしまうほどの夏休みの出来事とは! それは1970年大阪万博だったのです。 (丸黄うりほ) 70年大阪万博「鉄鋼館」でのコンサートに行って人生が変わった ——先生が1970年の大阪万博に足を運ばれたのは、高校2年生の時だったんですね。 柿沼敏江さん(以下、柿沼) そうです。1970年の大阪万博で「世界の最先端の音楽が聴けるフェスティバルがある」と聞いて、高校の先輩が「行った方がいい」というので、「じゃあ、行っておこうかな」と一緒に行くことにしました。たまたま、叔父が大阪の高槻市に住ん
