偶の休みだったので午頃迄寝ていようと思って朝飯も食わずにぐうたらしていたらキムラが息せき切ってやってきた。折角気分よく怠惰を満喫していたところを邪魔されたので頗る不機嫌に応対したのだが、流石はキムラだけあってこちらの機嫌を意に介す素振りなど微塵もない。興奮した様子のキムラが言うには近所の浜に鯨が打ち上げられたという。正直なところ間抜けな鯨などより先程の惰眠を継続したかったところだが、キムラは一緒に見に行こうぜと主張して譲らない。この男とは中学校以来の付き合いで所謂腐れ縁という奴だが、初めて会った頃からこういう具合に相手の事情を鑑みようとしない所はずっと変わっていない。多分死ぬまでこのままなのだろうと思う。だから諦めて鯨見物に同行することにした。 同行することにはしたのだが簡単にはこちらの機嫌も好くはならないので連れ立った道すがら鯨について悪し様に罵ってやることにした。キムラを罵らないのはそ