ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が欧州へのガス栓を閉めた時、ドイツは他の誰よりも、停電続きの冬を恐れた。工業大国ドイツがいかにロシア産ガスに依存していて無防備か、いやというほど承知している政府幹部は、代替供給の確保に走り回った。 しかしそれから数カ月がたった今、ドイツ各地のクリスマス・マーケットにはイルミネーションがともった。グリューワインの香りがただよう空気の中には、慎重ながら楽観的な気配もある。ドイツ政府が急ぎ取りまとめたロシア産ガス脱却戦略は、今のところ、成功している。
ガス・電気の市場価格は去年の10倍超 先日、「ドイツの政治家が国民に政策を説明するとき、しばしば子供言葉を使うのは何事か!」という批判がとあるニュースサイトに出ていたが、私も最近それと同じことを思い、不快に感じていた。 例えばワクチンのことは「チクリ(Piks)」、コロナの時の援助は「ドカン(Wumms)」。ドカンとは大規模な援助という意味だ。そして、今回発表されたガスと電気の価格抑制を目的とした大型援助が「ダブル・ドカン(Doppelwumms)」。はっきり言って、不快感もダブルだ。 政治家は、子供言葉にすれば同じ目線になって賛同を得られるとでも思っているのだろうか。国民をバカにしているのか、それとも国民が本当にだんだんバカになっているのか? 9月29日、その「ダブル・ドカン」の詳細が、ショルツ首相(コロナ陽性のためオンラインで参加)、ハーベック経済・気候保護相、リントナー財務相によって
(CNN) ドイツの天然ガスの貯蔵量が容量の90.07%に達したことがわかった。天然ガスの貯蔵量などに関する情報を提供している「GIE AGSI+」がウェブサイトで明らかにした。 ドイツは欧州最大級の経済大国だが、家庭や重工業の電力供給には特にロシア産の天然ガスに依存している。 ドイツはロシア産エネルギーへの依存から脱却しようとしており、現在はオランダやベルギー、ノルウェーからパイプラインを通じて天然ガスを受け取っている。 ドイツのハベック経済相は、ドイツはロシア産の天然ガスがなくても、冬を乗り越えることができるとしながらも、春以降の供給水準については懸念を表明した。 ハベック氏によれば、経済活動によってガスが消費されるため、春には備蓄が空になる可能性があるという。 ドイツのガスや電気の規制当局は先に、追加措置を取らない場合には貯蔵量が95%の水準に達しない可能性が高いとの見通しを示してい
ドイツの住宅の屋根にソーラーパネルを設置する作業員/Wolfgang Kumm/picture-alliance/dpa/AP ドイツ・ドルトムント(CNN Business) 天然ガス危機でエネルギー価格が記録的な水準となっている欧州で、人々は自宅や会社へのソーラーパネル設置に奔走している。 ドイツソーラー協会がCNN Businessに提供したデータによると、今年1〜6月にドイツでは太陽光発電システムの設置が前年同期比22%増となった。ここには住宅の屋根に設置する小規模なものから大規模な太陽光発電所まで、住宅用と商業用が含まれる。 再生可能エネルギー産業の企業にとって大きな販売ラッシュとなり、これによりサプライチェーン(供給網)に負荷がかかっている。 欧州最大の経済国であるドイツではエネルギー価格の高騰、優遇措置の導入、太陽光発電技術の浸透により、太陽光発電に対する需要はすでに高まって
連立政権に亀裂が入り始めた 7月29日、ハーベック経済・気候保護相がバイエルン州のバイロイトと、チューリンゲン州のシュロイジンゲンで登壇。政府のエネルギー政策を説明しようと聴衆の前に立ったが、どちらでも抗議の声で遮られた。 現在、壊滅状態に陥っているドイツのエネルギー政策だが、ほとんどのアンケートでは、ハーベック氏の人気も、緑の党の人気もいまだに高く、私から見ればドイツ政界の7不思議の一つだったのだが、バイエルン州やチューリンゲン州はどうもその限りにあらず、のようだ。 掲げられているプラカードを見ると、「お前は嘘つきだ」「お前は戦争を煽っている」という直接的なものから、「ハーベックはドイツを反吐が出るほど嫌だと思っている。あるいは、その反対?」などという捻ったものもあった。要するにここには、ハーベック氏をひどく嫌っている人たちがいるという意味だ。 バイエルン州というのは元々独立独歩の気性が
電気料金の上昇が続いている。東京電力管内の標準的な料金は1年間で約30%上昇した。大手電力会社の料金体系によっては、燃料費の変動を料金に反映させる燃料費調整制度が設けられている。 大半の電力会社では調整制度で設定されている上限額に達しているため、今後電力会社が石炭、液化天然ガス(LNG)などの価格上昇分を負担することになる。同様の制度を導入している新電力と呼ばれる電力小売会社も同様の負担を迫られる。 燃料価格上昇と円安により大手電力会社の4~6月決算では、大半が赤字になった。新電力の中には事業から撤退する企業もある。 電気、ガスなどの社会インフラを提供する企業の経営が不健全な状況になれば、安定供給が脅かされる。経営の健全化を図るため、家庭用、産業用電気料金体系の見直しが始まっている。消費者が安定的に供給を受けるためには料金体系の見直しは止むを得ないだろう。 日本の電力供給の40%はLNG火
燃料代高騰に歯止めのつもりが 日本と同じくドイツでも、ガソリンとディーゼル燃料が高騰している。今年の最初、1リットル1.6ユーロ(208円・1ユーロ=130円で換算)だったのがジリジリ上がり始め、3月半ばには2.3ユーロ(299円)を超えた。 その後は少し下がり、2ユーロ(260円)あたりで高止まりしていたが、政府は、夏のバカンスシーズンを間近に控え、どうにかしなければならないと思ったのだろう、6月1日から3ヶ月間、ガソリンとディーゼルに掛かっている税金を軽減することを発表した。 ガソリンには、石油税0.65ユーロ(85円)/Literのほか、炭素賦課金0.07ユーロ(9円)/Liter、石油備蓄付加金0.003ユーロ(0.4円)/Literなどがかかっており、最終の価格に、さらに19%の消費税(付加価値税)が乗る。 こうしてみると、正味の“ガソリン代”はおそらく価格の2割ほどだ。予定され
ドイツのメルケル前首相(写真)が1日に開かれたイベントで、ロシアのウクライナ侵攻を「野蛮な戦争」と批判し、ウクライナへの連帯を表明したことが参加者の話で分かった。ベルリンで2月撮影(2022年 ロイター/Hannibal Hanschke) [ベルリン 1日 ロイター] - ドイツのメルケル前首相が1日に開かれたイベントで、ロシアのウクライナ侵攻を「野蛮な戦争」と批判し、ウクライナへの連帯を表明したことが参加者の話で分かった。在任中の対ロシア政策について批判が出る中、数カ月ぶりに沈黙を破った。 メルケル氏はドイツ労働総同盟(DGB)幹部の送別イベントで、傍観者の立場から助言はしないが「この野蛮な戦争を終結させる」ための独政府の取り組みを支持すると表明。「私はウクライナと連帯する」と言明したという。参加者が明らかにした。
多様性のスウェーデンで移民の暴動が相次ぐ 4月半ば、ヨーロッパでイースター休暇が始まっていた頃、スウェーデンのあちこちで暴動が起こり、警官が襲われたり、自動車に火がつけられたり、学校が燃えたりした。ドイツの主要メディアは、「右翼のデモを認可したら暴動が起こった」と報道したが、これは部分的にしか正しくない。暴動の主勢力は右翼ではなく、移民だったと言われる。 これを聞いて思い出すのが、15年ほど前にフランスのパリ郊外で、移民の第2、第3世代によって引き起こされた大規模な暴動だ。当時、現地では公共施設が破壊され、9000台の乗用車に火がつけられた。公道に集まった若者たち(旧植民地だった北アフリカ系)は完全に戦闘モードで、辺りは3週間ほど内戦のようになった。 スウェーデンは人口が少なく、人口密度も低いので、パリ近郊のような騒動にはならないにせよ、ショックだったのは、これまでこの国がマルチカルチャー
ドイツ政府は国内の風力タービン設置を容易にしたいと考えている。写真はベルリンの北東約64キロにあるアンガーミュンデ付近に建設中のもの。(PHOTO BY SEAN GALLUP, GETTY IMAGES) 2月24日未明、ロシア軍のウクライナ侵攻によって、ドイツは不愉快な現実に直面した。ロシアはドイツにとって最大のエネルギー供給国で、天然ガスと石炭の半分以上、原油の3分の1を供給している。対価として、ドイツはロシアに1日2億ドル以上を支払っている。この資金が現在、戦争の元手になっているのだ。 ドイツのベアボック外相は、2022年末までにロシアからの石油輸入を止め、天然ガスからもできるだけ早く手を引くと4月に公約した。短期的に見ると、化石燃料の代替供給国を見つけることになるのかもしれない。 しかし、長期的に見るなら、ドイツにとって今回の危機は、化石燃料から完全に脱却し、約30年前に始まった
ドイツで行われたウクライナ戦争に対する抗議活動。 Ying Tang/NurPhoto/Getty Imags ドイツ国内では、ウクライナ戦争をめぐって、ロシア産化石燃料の輸入を禁止すべきだという声が高まっている。 ドイツ政府に助言する経済機関の報告書によると、ロシア産化石燃料の輸入を直ちに禁止すると、ドイツは「深刻な景気後退」に陥るという。 ドイツはロシア産天然ガスの輸入を停止した場合、2年間で国内総生産の6.5%にあたる2200億ユーロ(約30兆円)を失う可能性がある。 ドイツ政府に政策提言のアドバイスを行う同国の主要な経済研究機関は、2022年4月13日に「共同経済予測(Gemeinschaftsdiagnose)」の報告書を発表した。それによると、ドイツがロシア産天然ガスの輸入を直ちに停止した場合、今後2年間で2200億ユーロ(約30兆円)の国内総生産(GDP)を失う可能性があると
今年2月、リトアニアでNATO軍の演習に参加したドイツ軍部隊 Janis Laizans-REUTERS <ロシアのウクライナ侵略を目の当たりにして、欧州各国はドイツの軍事力強化を望んだが、後にそれはヨーロッパに新たな緊張をもたらすかもしれない> ロシアによるウクライナ侵略を受けて、ドイツの外交・安保政策が大転換を向かえようとしている。これまでドイツは紛争地への武器供与を自制してきていたが、今年2月末、ウクライナにミサイルなどの兵器の援助に踏み切った。またショルツ首相は、国防予算をGDP比で2%以上へと大幅に引き上げることとを宣言している。 この方針転換が実行に移されれば、ドイツは経済面だけでなく安全保障面でも欧州の地域大国となる。ドイツ国内ではショルツ政権の支持率も好転し、国防力の強化は世論調査で7割以上の支持を得ている。しかし統一後のドイツが辿ってきた外交的道のりを考えると、この変化は
破壊されたロシアの装甲車=4日、キーウ西郊ブチャ/Aris Messinis/AFP/Getty Images (CNN) ドイツ連邦情報局(BND)は6日、同国議会の委員会会合で、ロシア兵がウクライナでの兵士や市民の銃撃について話す無線を傍受したと報告した。会合に詳しい情報筋が明らかにした。 この報告が会合の最重要項目だったという。ロシアは戦争犯罪の発生を否定しているが、この記録はロシア軍のこうした行動様式を暗示している可能性がある。 本件を最初に報じたドイツ誌「デア・シュピーゲル」によると、BNDはウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの市民殺害について話すロシアの無線を傍受した。一部の会話は特定の殺害に直接かかわる内容の可能性があるという。 米紙ワシントン・ポストは匿名の当局者の話として、ドイツ情報機関はロシア軍がブチャでの殺害に関与したことを示す衛星画像を持っていると伝えた。た
ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相。2022年4月2日撮影。 Mateusz Wlodarczyk/NurPhoto via Getty Images ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は、ウクライナにおけるロシアの行動は「大量虐殺」だと述べた。 同首相は、ドイツとフランスがプーチンを止めるのに十分なことをしていないと非難した。 彼はさらに、ドイツがより厳しい制裁の最大の障害であると述べた。 ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は、欧州連合(EU)に対し、ロシアに対して「即時かつ決定的な行動をとる」よう要請し、特にフランスとドイツの対応を非難した。 ロイター通信によると、モラヴィエツキ首相は4月4日の記者会見で、ロシアに対する制裁強化の主な障害になっているのはドイツだと述べたという。 「ハンガリーは(現政権の)4度目の勝利であり
2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから、欧州の日常生活にも大きな変化が表れている。 ドイツでは自動車用燃料の価格高騰が止まらない。3月に入り、ガソリンとディーゼル燃料はそれぞれ1リットル当たり2.15ユーロ(約275円)を超えている。これは1年前の2倍近い価格だ。あるドイツ在住者は、「燃料が高いのでクルマ利用を控えている。今後も値上げの可能性があるので、早めに給油した」と話す。 自動車燃料の価格高騰は物流コストの上昇につながり、食料品も値上がりしている。電力やガスは数カ月ごとの支払いが多いため、すぐには影響が出ていないが、小売価格の上昇は必至である。ドイツの2月の消費者物価指数(CPI、欧州連合基準)は前年同月比5.5%の上昇であり、この勢いがさらに加速しそうだ。 ドイツだけでなく、ユーロ圏全体でも物価上昇が消費者の生活を苦しめている。2月のCPIは前年同月比5.8%の上昇で、統計上
防衛予算を約2倍に 2022年2月27日。この日、ドイツのオラフ・ショルツ首相が連邦議会で行った演説は「同国を変えた」演説として歴史に残るだろう。同首相は1990年代の東西冷戦終結以来ドイツが続けてきた「防衛軽視」の姿勢を180度変えて、ロシアの脅威に対抗するため軍備増強の方針を打ち出したのだ。同首相は「ドイツ連邦軍を、確実に祖国を守ることができる近代的な軍隊に作り替える」と宣言した。 具体的には、連邦軍のために1000億ユーロ(約13兆円)の特別基金を今年創設して、兵員数の増加、兵器の近代化、装備の調達、同盟国との新兵器の共同開発などに充てる。基金の財源は、国債を発行して賄う。ロシア軍のウクライナ侵攻前に決められていた今年の防衛予算は、503億ユーロ(約6兆5390億円)だった。この503億ユーロに特別基金の一部を加えて約1000億ユーロとする。つまり独政府は、2022年に連邦軍に投じる
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