NHKブックス「内臓感覚 脳と腸の不思議な関係」福土審著 を読んだ. 最初,題名から,神経性大腸炎がストレスにより,どのように発生するかを説明している本だと思っていた.ま,脳というのは精神であり,腸にその反応が作用するところというありふれた構図を予想していた. しかし,ちょっと違うようだ. 腔腸動物に代表されるように,生命の発生は腸からおこっている.脳がない生命があっても腸がない生命はない. この腸壁の神経叢の構造が,神経回路網で構成され,あたかも脳の構造と原理的に類似しているそうだ.(腸内の粘膜下神経叢などは,ニューラルネットワークでまさに脳の構造だそうだ.) このネットワーク内にパルスの流れが自励的に発生し,腸の3種類の運動(蠕動運動など)が起こるのだそうだ. また,この書では,過敏性腸症候群(IRS;IRritable bowel Syndrome)の話題が中心をなす.い