ニューヨーク生まれの奇才スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」が公開されたのは1968年だった。21世紀はまだ遠い未来のかなた。映画の中では、高度な人工知能を持つコンピューターが宇宙船の乗員を次々に殺していく。機械と人類の未来を暗示する場面だった。 そのコンピューターと同じ名前を持つロボットがいま、世界中から注目されている。ロボットスーツ「HAL」(Hybrid Assistive Limbの略)。人が身につけ、運動を補助したり、身体機能を増幅したりすることが可能になる。筑波大学大学院の山海嘉之教授(49)が開発した装着型ロボットだ。 人間が筋肉を動かそうとすると、脳から伝わる神経信号により皮膚の表面にわずかな電位差が生じる。この信号を高感度センサーで読み取り、モーターを駆動させることで、HALを装着した人の力は何倍にもパワーアップする。 2006年夏、山海さんは障害者のス