2年間の赤字が約1.5兆円に上る見通しのパナソニック。国際家電見本市(CES)で基調講演を行ったトップに展望を聞いた。 ──巨額の赤字の中、CESの基調講演を引き受けた狙いは。 赤字とCESの基調講演をやるかどうかは関係ない。いま業績が悪いことは事実だ。だが、パナソニックがどこに向かい、強みの源泉をどこにつくるのかを考え直し、社内外に発信するよい機会だ。 ──基調講演で伝えようとしたメッセージは。 米国では「パナソニックはテレビメーカーで、テレビ事業で苦しんでいる」という単純な見方をされている。社内にも家電メーカーという意識があるが、売り上げに占める家電比率の実態はもはや3分の1だ。パナソニックとは何かを正しく伝えなければならない。基本は人の暮らしにフォーカスを当て、エンジニアリングで実現してきた会社だ。家電ではない、車の中や飛行機の中、サービス業でも貢献できる。ただ、家電が強みであること