日邦プレシジョン(山梨県韮崎市、古屋俊彦社長)と東海技研(横浜市港北区、大槻塁社長)は、山梨大学と連携して開発を進める水素・燃料電池(FC)電動アシスト自転車を使い、山梨県富士川町の公道で実証事業を始めた(写真)。同自転車の公道走行は初めて。走行開始セレモニーで、長田公山梨県副知事は「新技術への挑戦は困難を伴う、技術者をはじめとした熱意がつながった。社会実装の第一歩となることを期待したい」とあいさつした。 同町の「道の駅富士川」にレンタサイクルとして最大5台を設置。同自転車には最大出力200ワットの燃料電池スタックと、容量1・1リットル、200気圧の小型高圧水素容器を搭載し、約100キロメートル走行できる。こうした自転車は現在の法律などの規則では公道走行できないが、安全性に関するガイドラインを策定。これを基に経済産業相の特別認可(大臣特認)を受けた。 社会実装に向け日邦プレシジョンなどは、
青木氏によると、FCVはハイブリッド車と比べ燃費が悪く、年間15万キロ程度を走るタクシーとして使った場合、約100万円の追加の燃料費がかかる。青木氏は、環境にいい車だからといってタクシー利用者が倍の金額を払ってくれるはずもなく、それでもFCV導入を推し進めるような愚かな経営者は「株主からクビを切られる」と断言する。 世界に先駆けて2017年に水素基本戦略を策定した日本だが、水素需要の一翼を担うFCVの累計販売台数は想定を大幅に下回る8000台弱となっており、保有台数に占める割合は微々たるものだ。 FCVのモデル数が限られることも普及を妨げる要因だ。トヨタが今秋に発売する高級車「クラウン」のセダンにFCVモデルを用意する計画であるほか、独BMWが新たなFCVの少量生産を始めるなど、モデル数は今後徐々に増加していく可能性が出てきたものの、現状では選択肢は少ない。 また、水素ステーションの不足も
プリウスなどのハイブリッド車にいち早く着手したトヨタ。そんなトヨタがなぜいま水素に注目し、開発を進めることとなったのか。今回はその経緯と理由に迫る。 2021年4月、トヨタ自動車は「水素エンジン」の技術開発に取り組む意向を示した。また2022年6月には「水素エンジン車市販化に向けた取り組み」と、「液体水素搭載への挑戦」についても発表している。 公式ウェブサイトで公開された本リリースは、自動車レース「スーパー耐久シリーズ」に先駆けて発表されたものだ。同ページでは「モータースポーツの厳しい環境で水素エンジンを鍛えていくことで、サスティナブルで豊かなモビリティ社会を実現すべく、貢献していきます」といった記載が。水素エンジン車の市販化に向けた研究開発も、「レースで鍛えた技術」を生かしていくとのことだった。 とはいえ、水素自動車の開発に力を入れている自動車メーカーはまだ少ないこともあり、現状では 「
疾走するトヨタの2代目FCVのMIRAI(トヨタ自動車提供) トヨタ自動車が、水素を燃料として走行する燃料電池車(FCV)の2代目MIRAI(ミライ)を発売した。開発責任者であるチーフエンジニアの田中義和氏から「ミライ」の位置づけや水素社会未来図などを聞いた。(聞き手=永井隆・ジャーナリスト) ――2代目ミライがこの12月に発売されました。トヨタは2002年末に政府などに燃料電池車(FCV)を納車し、14年末に世界初の量産型FCVの初代ミライを発売しました。初代に続き2代目の開発責任者を務めたいまの思いは。 田中 ホッとしているのが正直なところです。脱炭素に向けての水素社会を実現するためのきっかけが2代目ミライです。単に車両を売るだけではない。水素というエネルギーの選択肢を、世界に提示していく。2代目の開発期間は約5年でした。 年3万台の量産にかじ切り --初代と2代目の大きな違いは。 田
走行時に水しか出さないため「究極のエコカー」とされてきた水素で走る燃料電池車(FCV)。その存在感が世界で加速する「電気自動車(EV)シフト」のムードに押されて薄れつつある。トヨタ自動車やホンダはなぜFCVの旗を降ろさず、燃料を入れる水素ステーションの普及にも意欲的なのか。国内自動車大手が水素の活用にこだわる理由を探った。 「水素で『つくる』『つかう』『つながる』」 平成29年12月8日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた環境関連の展示会「エコプロ2017」をのぞくと、会場の一角にそんなキャッチコピーを掲げたホンダのブースがあった。 「つくる」技術として高圧水素を製造・貯蔵しFCVに充填(じゅうてん)する新型の水素ステーションを、「つかう」技術としては5人乗りのセダン型FCV「クラリティフューエルセル」も展示。FCVに接続し電力を供給する持ち運び可能な給電機など、「つながる」技術のア
水素はクリーンエネルギーという大きな勘違い 水素をエネルギー源として活用する水素社会の実現に向けた取り組みが熱を帯びている。昨年6月に閣議決定した安倍政権の成長戦略である「日本再興戦略」において、水素で走る燃料電池自動車(FCV)や水素インフラに係る規制を見直すとともに、「水素ステーションの整備を支援することにより世界最速(でFCV)の普及を目指す」と明記された。 今年6月には経済産業省が水素社会実現に向けた行程表(ロードマップ)を取りまとめている。FCVや家庭用燃料電池(エネファーム)の具体的な普及目標を設定し、2030年には水素発電所の実用化も目指すという。 同月に政府が閣議決定した「『日本再興戦略』改訂2014」でも、「水素社会の実現に向けたロードマップの着実な実行とフォローアップ」が謳われて、FCVの購入者に1台当たり200万~300万円の補助金を出す支援策も決まった。トヨタが本年
日鉄住金パイプライン&エンジニアリングと米Air Productsは日本国内の水素ステーションのシェア3割を狙い、共同で建設事業に当たる。Air Productsの水素ステーションは全世界160カ所の実績があり、使用頻度の高いステーションは1日200回の充填実績がある。 水素で走行する燃料電池車の量産は2015年に始まる。水素のいわば「ガソリンスタンド」が必要だ。2015年までに国内に100カ所の水素ステーションを設置する計画が動いており、2025年までには1000カ所に拡大する。 既に複数の国内企業が4大都市圏を中心に水素ステーションの設置を始めており、今後も参入企業が増えそうだ。 日米の企業が協力して当たる動きも現れた。日鉄住金パイプライン&エンジニアリングと米Air Productsは、2014年2月、日本国内における水素ステーション建設事業に共同で取り組む内容の覚書を締結。「水素ス
1月22日に、燃料電池開発情報センター主催の第130回研究会に出席し、講演を行った。燃料電池開発情報センターは、1986年に通産省(当時)の提案により設立された、燃料電池に関する情報発信をミッションとする団体である。燃料電池の開発がずいぶん昔から行われていたことに、驚かされる。 講演会のプログラムは以下の通りである。 1.「水素社会に向けた取り組み 『最近のトピックスより』」 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 主任研究員 大平英二 2.「FCVを取り巻く最新の規格状況 『FCV関連国際標準化動向』」 一般財団法人 日本自動車研究所 主任研究員 富岡秀徳 3.「日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ」 微細加工研究所 所長 湯之上隆 引き続いて、立食式の懇親会 燃料電池の研究会で、なぜ湯之上が講演するのかと思われるかもしれない(講演依頼があったとき私も場違い
ホンダの米国法人であるAmerican Honda Motorが、燃料電池車「Honda FCEV CONCEPT」を見せた。2008年からリース販売を継続している「FCXクラリティ」の後継となる車だ。走行性能を高めたほか、パワートレインを小型化し、大人5人がゆったりと乗車できる車室空間を実現した。 ホンダが燃料電池車の本命の姿を見せた。「Honda FCEV CONCEPT」(図1)である。ホンダの米国法人であるAmerican Honda Motorが「ロサンゼルスオートショー2013」(2013年11月19日~12月1日」において、世界初公開したもの。 2008年にリース販売を開始した燃料電池車「FCXクラリティ」の後継モデルとなるコンセプトカーだ。Honda FCEV CONCEPTをベースとした燃料電池車を2015年に日本、米国、欧州で発売する予定である。今回展示したものはモック
燃料電池はこれまで、環境意識の高い企業や家庭を中心に、じわじわと導入量を増やしてきました。それがここへ来て、災害時などの非常用電源として、さらには夏場などの電力不足の解消に、そして将来の再生可能エネルギーの余剰電力問題を解決する手段として急速に注目度が高まっています(日経エレクトロニクス 2014年1月20日号 特集「発電所がやってくる」参照)。 2013年11月には米Bloom Energy社が、福岡市に業務用燃料電池システムを設置しました。燃料電池システムを売るのではなく、発電した電力を販売するビジネスモデルです。価格は23~28円/kWhと決して安くはありませんが、非常用電源としても使える利点を強くアピールしています。この他に岩谷産業は、再生可能エネルギーの余剰電力で水電解して水素を貯蔵し、電力の不足時に燃料電池で発電する実験を北九州市で始めました。 燃料電池車の導入をにらんで、海外
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。 2013年11月28日付 ●半導体国内生産撤退へ、パナソニック3工場売却、車・産業分野を強化(読売・8面) ●文化アート、軽ブームに透ける高齢化(読売・16面) ●燃料電池車、市場へ加速、トヨタ・ホンダ15年投入、満タンで500キロ走行、日産・欧州勢は慎重(朝日・10面) ●ヤマハ発動機、燃料タンクの塗装新しく(朝日・10面) ●新日鉄住金、米工場買収へ、ミッタルと共同で海外強化(朝日・10面) ●ガソリン店頭価格5週連続値下がり(毎日・8面) ●NY円下落、一時102円台(産経・13面) ●EV充電、ワイヤレス、事業化目指す、ダイヘン(産経・13面) ●スズキ,タイで生産能力を倍増、アジア共通モデル
米国の自動車最大手、GMは10月22日、シボレー『エクイノックス』をベースにした研究開発用の燃料電池車が、実証実験で累計10万マイル(約16万km)を走行したと発表した。 GMは2007年、シボレーブランドのクロスオーバー車、『エクイノックス』をベースにした研究開発用の燃料電池車119台を使った実証実験、「プロジェクト・ドライブウェイ」を開始。ウォルトディズニー社が、社用車としてこの燃料電池車を活用するなどしてきた。 この燃料電池車は、最大航続可能距離およそ320kmの性能を備え、水素の補充は5分で完了。もちろん、ゼロエミッション走行を実現する。今回、これらの燃料電池車の中の1台、ウォルトディズニー社の車両が、累計走行距離10万マイル(約16万km)に到達。 また、119台のGMの燃料電池車のトータル走行距離は、ほぼ300万マイル(約482万km)に到達。GMによると、自動車メーカーの実験
トヨタ自動車の豊田章男社長はシーテックの会場でライバル日産自動車の「自動運転車」に実車した=1日、千葉市美浜区の幕張メッセ(写真:フジサンケイビジネスアイ) 電気自動車(EV)に代表される電動車両が、交通事故や渋滞を防ぐ安全な交通インフラ構築に向け動き出している。日産自動車は、人が運転操作をしなくても自走する「自動運転車」を2020年までに、「手頃な値段」(日産幹部)で発売する計画を打ち出した。試作車は、EV「リーフ」がベース。 車の運転には、(1)認知(2)判断(3)操作−と3つのステップがある。人によるこの一連の動きをICT(情報通信技術)活用で知能化させた車に担わせていく。危険をセンサーが認知するスピードなどで、「3ステップとも、人の100倍の能力を車は潜在的には有している。車が人の能力を補完する形」(松村基宏・日産自動車執行役員)と話す。 筆者は最近、カリフォルニア州に設けられ
ハイブリッドカーの次、プラグインハイブリッドカー、バッテリー式EVに続く第3の次世代エネルギー車、水素燃料を用いた電池電池自動車の開発をめぐり、世界の自動車メーカーが合従連衡の動きを加速させている。今年1月にトヨタ自動車-独BMW、日産自動車-米フォードモーター-独ダイムラー、7月にはホンダと米ゼネラルモーターズ(GM)と、燃料電池車に関する大型提携が飛び出した。ほかにも韓国の現代自動車、カナダの燃料電池開発会社バラードなど多くの企業が市販車開発に乗り出している。 燃料電池車ブームは、過去にも90年代と2000年代に2回起こっている。が、EV以上に高いコスト、水素供給インフラ整備の難しさなどが壁となり、普及段階にかすりもしないまま今日に至っている。 そのような実情にもかかわらず、ホンダとトヨタは2015年の燃料電池市販車の販売を表明。日産も2017年に販売するとしている。なぜ今また、燃料電
燃料電池車、官民で推進=水素ステーション整備も加速 燃料電池車、官民で推進=水素ステーション整備も加速 JX日鉱日石エネルギーが開設したガソリンスタンド併設型の水素ステーション=神奈川県海老名市 次世代のエコカーとされる燃料電池車(FCV)の普及に向けた取り組みが、官民で本格化してきた。2015年の量産開始を見据え、石油元売り会社などが燃料となる水素の供給網整備に着手。政府も予算投入や規制緩和で後押しする。 FCVは、水素と酸素の化学反応でつくる電気でモーターを回し、走行する。水だけを排出し、二酸化炭素は出ない。 同じ次世代エコカーでも電気自動車(EV)は充電に30分以上を要し、走行可能距離は約200キロと短い。これに対しFCVは燃料の水素5キログラムを3分で注入でき、500キロ以上も走行できるため、「EVに代わり得る」(内山田竹志トヨタ自動車副会長)とメーカーの期待は高い。(2013
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