「私たち日本人は、唯一の戦争被爆国民であります。その非道を後の世に、また世界に伝え続ける務めがあります」 安倍晋三首相が6日に広島市で行われた平和記念式典でこうあいさつし、原爆投下について「非道」という言葉で非難したことに注意をひかれた。式典には米国のルース駐日大使も参列しており、首相は歴史問題でやんわりと米国を牽(けん)制(せい)したといえるからである。 折しも読売新聞には映画「プラトーン」や「JFK」で知られる米映画監督、オリバー・ストーン氏のインタビュー記事が掲載されていた。ストーン氏はこう語っていた。 「原爆投下は戦争を終わらせるために必要だったというのは幻想だ」「日本の人々も、米国の神話を受け入れず、なぜ原爆が落とされたかを学んでほしい」 このような見方は米国では必ずしも主流派ではないだろう。とはいえ多様な意見、見解が存在し、かつ堂々と表明されるのは米国らしい懐の深さだといえる。