●原発事故被災地から考える 日本国憲法が公布されてから3日で66年を迎える。東京電力福島第一原発の事故のあと、個人を尊重し、個人の権利を保障する憲法の精神が、置き去りにされてはいないか。福島から憲法を考える。 ◎描いていた将来像崩れ/第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 生まれ育った故郷に戻って暮らしたい。原発事故後、避難生活を送る大浦悦子さん(69)はそう願う。「潮風を受けたい。故郷だからね、大熊に帰りたい」 大熊町から約100キロ離れた会津若松市の仮設住宅で、独り暮らし。震災から1年7カ月がすぎた。町は警戒区域に指定されたまま、自由に行き来できない状態が続いている。 大浦さんには、大切な場所がある。第一原発から3.5キロの高台にある30アールの畑だ。津波で自宅が流されたあと、家族6人で再起を図ろうとした土地だ。近くに先祖が眠る墓も