名誉毀損(きそん)で韓国民間団体から告発された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が起訴された。韓国を40年間、観察してきた研究者として、また、かの国に多くの尊敬する先達、友人を持つものとして、残念の一言だ。産経新聞は社長名で「速やかな処分の撤回を求める」との声明を出した。私もその声明を全面的に支持する。 自由民主主義国である韓国では最高指導者も言論の批判の対象だ。加藤記者が書いたコラムはまさに公人としての朴槿恵(パク・クネ)大統領の動静に関する公的関心にもとづくもので、記者本人が主張しているように、大統領個人を誹謗(ひぼう)するものではない。日本語ウェブサイトに日本人読者を対象に書いた記事が、韓国の国内法で裁かれること自体あまりにも異例であり、政治的意図すら感じてしまう。 ≪沈黙と批判に回る保守言論≫ 産経新聞が歴史認識問題などで現在の韓国側の主張を批判してきたことが、今回の起訴の背景だとい