サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki原悦生●写真 photo by Hara Etsuo 優勝カップを手にしたカシージャス、シャビ(右)ら【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ユーロを連覇したスペイン(後編) それでもスペイン代表には、独裁時代とのつながりをさらに断ち切る必要があった。ユーロ2008の前にスペインの当時の監督だったルイス・アラゴネスは、代表チームに「ラ・ロハ(赤)」という新しいニックネームをつけた。アラゴネスは否定しているが、この名前には過去を断ち切り、左派に寄り添おうという意図さえ感じられた。「スペイン内戦時には、『赤』とは反フランコのことだった」と、作家のジミー・バーンズは新著『ラ・ロハ──サッカーはいかにスペインを征服し、スペインサッカーはいかに世界を征服した