明日は参議院選挙の投票日です。今回の参院選では憲法改正がかつてないほど重要な争点となりました。これは国政選挙では初めてといってもよいでしょう。現行憲法の改正に不可欠な3分の2が結集できるか否かが、注目されています。高いハードル その「3分の2」というのは現行憲法96条の規定ですが、この条件を満たすのは大変難しい。そのため、憲法制定から60年以上がたちますが、1度も改正されたことがなく、9条をはじめ現実との間にさまざまなギャップが生じています。 各種世論調査を見ても国民の多くは憲法を現実に沿うよう改正すべきだと考えています。にもかかわらず憲法改正が実現しないのは、この高いハードルがネックだからです。 選挙前、多くのメディアが一斉に「日本の改憲条項は決して厳しくない」と言いだしました。「米国も上下両院の3分の2以上の賛成で改憲が発議されている」「ドイツも3分の2を課している」…。 これらの主張
■国民は憲法守らなくても良い? 「国民には憲法を守る義務などない」。このようなことがまことしやかに語られています。果たして本当でしょうか? ◆守るのは政治家や官僚? 本講座で以前、憲法は国家権力を縛るものか考えました。そして「憲法は国家権力を縛るもの」といういい方が、憲法の一面だけを強調したもので、決して正しくないと述べました。 実は、国民には憲法順守の義務がないという主張もこれと同じで、一面だけをとらえていっているのです。先日もラジオに著名な護憲派の弁護士が出てきてこう述べていました。 弁護士「憲法は我々国民が守る義務は全くないんですよ」 司会「えっ!」 〔略〕 弁護士「じゃあ憲法は誰が守るのか? 憲法を守るのは公務員の皆さんです。国民が憲法を作り政治家や官僚に『この通り政治や仕事をやりなさいよ!』。国民が彼らに守らせ、国民が守るモノではないのです」 といった具合です。そして現行憲法99
先週の講座で「憲法とは国家権力を縛るものだ」といった主張が必ずしも正しくなく、むしろ一方的に国家=悪、国民=善だと決めつけていないか、と述べました。今回は憲法を考えるうえで避けて通れない「国家」について考えます。 ◆国家に2つの意味 結論を先に言います。「国家」には2つの意味があります。つまり本来の「国家」と「政府」です。その両者をきちんと区別して考えないといけません。 例えば「国を愛する」「国を守る」という場合の「国」「国家」について考えてみましょう。ここでの「国家」とは、父祖伝来の祖国、先人たちが歴史的に歩んで来た「国民共同体」を指します。歴史の中で団結したり争う時代はあっても、固有の伝統や文化のなかで国民がともに生きてきた運命共同体、これが本当の意味の「国家」です。 これに対して「国を相手に裁判を行う」「国家からの自由」といった場合にも「国」や「国家」という言葉が用いられます。しか
※国の姿形や歴史、文化、共同体の絆を憲法に盛り込んだ世界の憲法には1993年のロシア憲法、97年のポーランド憲法、99年のスイス憲法などがある。 ■「国家権力を縛る」だけのものか これから、産経新聞が発表した「国民の憲法」を解説しつつ、憲法について考えていきたいと思います。 初回のテーマは「憲法とは何か」。よく新聞やテレビで「憲法とは国家権力を縛るものだ」と耳にするでしょう。これを考えます。 ◆多様な憲法の役割 実は「憲法」にもさまざまな意味があります。まず「固有の意味の憲法」。これは古今東西を問わず、国家であれば必ず持っている統治のルールのことです。 次に、近代国家が誕生すると「立憲的意味の憲法」が登場します。これは憲法とは国家権力を制約し、国民の権利を保障するものという考えで、絶対王制でみられた権力者の横暴を抑制するために生まれました。「憲法が国家権力を縛る」というのはこのことです。
サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki原悦生●写真 photo by Hara Etsuo 優勝カップを手にしたカシージャス、シャビ(右)ら【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ユーロを連覇したスペイン(後編) それでもスペイン代表には、独裁時代とのつながりをさらに断ち切る必要があった。ユーロ2008の前にスペインの当時の監督だったルイス・アラゴネスは、代表チームに「ラ・ロハ(赤)」という新しいニックネームをつけた。アラゴネスは否定しているが、この名前には過去を断ち切り、左派に寄り添おうという意図さえ感じられた。「スペイン内戦時には、『赤』とは反フランコのことだった」と、作家のジミー・バーンズは新著『ラ・ロハ──サッカーはいかにスペインを征服し、スペインサッカーはいかに世界を征服した
靖国神社にある遊就館の片隅に奇妙な像がある。潜水服姿で頭には大きなかぶと。両手で長い棒を持ち、身構えている。先端に付けられているのは機雷である▼八月十五日の遊就館は見学者であふれていたが、この像をあまり気に留める人はいない。それはそうだろう。本土決戦を水際で食い止める「人間機雷」の存在はほとんど知られていないのだから▼敗戦直前に横須賀や呉などで部隊が編成され、三千人近くの若者が潜水訓練を受けた。上陸する米軍の舟艇を水中で待ち構え、竹ざおの先の機雷を突き上げて自爆する。「伏龍」と名付けられた水際特攻隊である▼空を飛ぶ夢を失った予科練の少年兵たちは、ひたすら死に向かう訓練に明け暮れた。本土決戦が回避されたために実戦には至らなかったが、潜水具には構造的な欠陥があり、多くの若者が訓練中の事故で命を失った▼当時の戦争指導者の愚劣さが凝縮されている人間機雷を考えたのは、参謀として真珠湾攻撃の作戦を立案
11日、東日本大震災の被災地を訪問する自民党青年局の「TEAM-11」のメンバー約20人と千葉県旭、浦安両市を訪れ、津波や液状化の被害を受けた住宅の復興状況や仮設住宅の現状などを視察した。旭市では津波の被害が大きかった飯岡漁港や近くの海岸を視察した後、今も仮設住宅での生活を余儀なくされている住民との対話集会にも臨んだ。 住民から「東北ばかりが注目される中、訪問してくれてありがとう」と地元の「揚かき餅」を贈られると、「僕ら国会議員は『汗かきモチ』で頑張る。われわれがみなさんの声をしっかり国会に届ける」と笑いを誘いながら決意を語った。 当初は対話集会の後にぶら下がり取材に応じる、となっていたが、時間が押しているとなってそのまま浦安市へ移動した。記者も慌てて電車で追いかけたが、無情にも現地での取材には間に合わなかった。
第5講で、日本国憲法は、いまや世界的に古い部類の憲法に入っていると言いました。それでは、新しく制定された憲法にどういう傾向があるのでしょうか。 ◆世界の半分が新憲法 私は、近年における世界の憲法動向を知るために、1990年以降に制定された全憲法を収集し、分析しました。なんとこの22年間(1990年3月のナミビア憲法から2012年12月のエジプト憲法まで)に100カ国でまったく新しい憲法が制定されています。現存する国家の半分以上で新憲法が制定されているのです。 これらの憲法をみると、いちばん多くの国の憲法で規定されているのが、国家緊急事態対処条項で、すべての国の憲法に取り入れられています。つぎに多いのが平和条項で、98カ国の憲法に導入されています。平和条項と国家緊急事態対処条項をセットで定めるのが、共通の現象です。 環境の権利・保護や政党に関する規定は、90カ国の憲法で設けられています。環境
広島や長崎で被爆した韓国人が12日、1人当たり1000万ウォンの損害賠償を韓国政府に求める裁判をソウル中央地裁に起こした。だが、原告側も韓国メディアもこの点に触れないが、韓国人被爆者に対し、日本政府は国籍や居住地に関係なく被爆者援護法を適用、同法に基づく医療支援などを実施しているほか、40億円の基金も支出している。今回の提訴については、日本側の関係者だけでなく事情を知る韓国側の関係者からも“一体どこまで謝罪、賠償を要求するのか”と疑問視する声が出ている。(ソウル 加藤達也) 訴えたのは韓国に居住する韓国人被爆者79人。原告側の代理人弁護士によると今後、原告に加わることを検討している被爆者もいるといい、最終的な原告団の規模は不明だ。 被告は韓国政府だが、韓国政府に対し、日本政府が韓国人被爆者への被爆責任を認め、謝罪し、賠償を迫るよう求めている。 原告団は今回の提訴と並行して今後、日本政府に▽
「終戦の日」の8月15日、靖国神社におまいりしてきました。拝殿前から続く長い行列は夕方まで途切れず、境内は他人に触れないように歩くのにかなり気をつかわなければならないほどでした。 集会での講演を聴きながら小一時間ほど行列がゆっくり進むのを見ていました。圧倒的に男性が多く、男女比はおおざっぱにいって7対3くらいでしょうか。小学生を連れた家族、旧交を温める団塊の世代のグループも目立ちました。 靖国神社によると、今年の8月15日の参拝者数は昨年よりも1万4千人増の約17万5千人。ここ数年来は16万人程度で推移していたとのことなので一気に増えたことがわかります。 これほどの大勢が集まったにもかかわらず、正午に黙祷(もくとう)の呼びかけが流れると、ざわめきも砂利を踏みしめる音もやみ、蝉時雨(せみしぐれ)が遠くに聞こえるだけの静けさ、厳粛さに包まれたのが印象的でした。一方で、以前は「靖國の桜」周辺で正
◆もんじゅと機構の改革 「もんじゅ」は今後、動くのだろうか。並大抵のことでは動かないだろうと思う。 日本原子力研究開発機構が運営する高速増殖炉で、原型炉の段階にあるもんじゅのことだ。平成3年に完成し、送電を始めた同7年にナトリウム漏れとそれに伴う火災事故を起こして以来、発電していない。 何もすることなく停止しているだけで、電気代などに年間100億~200億円もの維持費を要する存在だ。6千億円の建設費をはじめ、これまでに約1兆円の国費が投入されている。 ◆「厄介払い」案さえ浮上 このもんじゅと原子力機構が改革の俎上(そじょう)に載せられている。 きっかけは、昨年末からもんじゅで発覚した1万個を超える機器の点検漏れだ。原子力規制委員会は今年5月、原子力機構に対してもんじゅの運転再開準備禁止を命じている。 原子力機構を所管する文部科学省は、改革本部を設置して抜本改善の策を練った。 中間整理案は、
■韓国併合はまだ続いている? 韓国人にはどこか大胆不敵なところがある。歌の文句ではないが、「思い込んだら命がけ」のような、信じるところへまっしぐらみたいなところがある。先年、東京のJR駅で線路に落ちた人を救おうと、飛び降りて犠牲になった韓国人留学生の勇気は、日本社会を感動させたが、そうした“義侠(ぎきょう)心”ともつながりがあるかもしれない。 そのほかイラクやイエメンなどイスラム圏に出かけ、街で堂々と賛美歌を歌うなどキリスト教の布教活動をして問題になった韓国のキリスト教徒も、実に大胆不敵である。 そのうえでの話だが、毎年、「竹島の日」に島根県に出かけ「独島(ドクト)(竹島のこと)は韓国のものだ!」と叫んで反日デモをする韓国人もそうだ。逆に日本人が韓国に出かけて「竹島は日本のものだ!」とやろうものなら半殺しの目に遭うだろう。いや、そもそもまず入国させてもらえない。 8月15日に靖国神社にやっ
朝鮮半島の日本統治時代に日本で戦時徴用された韓国人4人が未払い賃金などの個人補償を求めた訴訟で、被告の新日鉄住金(旧日本製鉄、本社・東京)が計4億ウォン(約3500万円)の賠償を命じられた7月のソウル高裁判決を受け、敗訴判決が確定した場合には賠償に応じる意向であることが17日、同社への取材で分かった。元徴用工の賠償請求権問題については、日韓両政府とも昭和40年の日韓請求権協定で解決したとの立場を取っており、同社の判断は今後の同種訴訟や国内世論に影響を与えそうだ。◇ 新日鉄住金の訴訟をめぐっては、原告のうち2人が平成9年に日本で同様の訴訟を起こしたが、15年に敗訴が確定。韓国でも確定判決の効力を認め1、2審が請求を退けていたが、韓国最高裁が昨年5月、個人請求権を認め、審理を高裁に差し戻した。 新日鉄住金側はソウル高裁判決を不服として上告したが、最高裁で判断が覆される可能性は低いとみられる。
韓国人の戦時徴用をめぐる訴訟で、新日鉄住金(旧日本製鉄)が敗訴判決確定の際には賠償に応じる意向であることが17日、明らかになった。「判決には全く納得していないが、一民間企業としてできることには限界がある」。同社幹部の言葉には、国家間で締結された協定が“反故(ほご)”にされる異例の事態に巻き込まれた企業の苦悩がにじむ。日韓対立の新たな火種になるのは避けられない情勢だが、政府側から積極的な対応策は示されていない。(時吉達也)◇ 「本当に法治国家なのか…」。新日鉄住金の法務担当者は、ソウル高裁が7月10日に言い渡した判決文を手に、そうつぶやいた。 判決は日韓請求権協定について、「韓国政府が日本国内での個人請求権を外交的に保護する手段を失ったとしても、韓国内での請求権は消滅していない」とする理論を展開。日本での確定判決の効力や時効成立といった法律に基づく主張に対しては、「侵略戦争の正当性を否認する
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