『文学界』7月号家族の中で最初に風呂に入るのは誰か。仕事から帰った父親が一番風呂を浴びると、祖父母や子供たちがこれに続き、夜が更けてからようやく家事を終えた母親が家族の脂と髪の毛が浮いた湯船につかる-。都会に住む勤め人の核家族世帯はともかく、地方の自営業者の3世代世帯では、つい30年ほど前まではさほど珍しくなかった光景だ。 古川真人『風呂の順番』(文学界)は、年の瀬に母親・大村美穂の生家がある長崎の島に帰省した5人家族の一夜の会話劇と回想を軸に展開する。
![いつまで不在なのか、現代日本の新しい父親像 文化部・村嶋和樹 <文芸時評>令和6年7月号](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/98f9fda54e1799a8e9060287283d766e2aa01c97/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2Fi1toqP-iWkFtciqZMf41c4xX3ek%3D%2F1200x630%2Ffilters%3Afocal%28852x253%3A862x263%29%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2FNMDKNXTQ6BN7RNATPX7Y5F5FPM.jpg)
『文学界』7月号家族の中で最初に風呂に入るのは誰か。仕事から帰った父親が一番風呂を浴びると、祖父母や子供たちがこれに続き、夜が更けてからようやく家事を終えた母親が家族の脂と髪の毛が浮いた湯船につかる-。都会に住む勤め人の核家族世帯はともかく、地方の自営業者の3世代世帯では、つい30年ほど前まではさほど珍しくなかった光景だ。 古川真人『風呂の順番』(文学界)は、年の瀬に母親・大村美穂の生家がある長崎の島に帰省した5人家族の一夜の会話劇と回想を軸に展開する。
落語家は扇子と手ぬぐいを持ち、座布団に座ります。講談師も扇子と手ぬぐいを持ち、座布団に座りますが、同時に釈台を置き、張扇というもう一つの道具を持つところが特徴です。この張扇は開きません。打つためだけの道具です。 落語は「会話」で話が進みますが、講談には「説明」が加わります。 たとえば、落語の場合、 「おい、八っつあん! あそこに何か白い物がチラチラしていねえか」 「ああ、なんだろう」 と会話の掛け合いで進展していくのですが、これが講談になると、 「道の先をずっと見渡すと何か白い物が揺れているように見える。熊五郎は八五郎の肩をたたき、『おい、あそこを見ろ』と指さしました」 となります。このように、台本でいうところのト書き、つまり説明を読むのです。 時代や日時、季節や街の景色まで明確に語る 講談は、軍記物語などに注釈を付けてわかりやすく読み聞かせる芸ですから、説明が多く混じります。落語に比べ、
田端義夫物語は、東京・新橋の沖縄料理店に始まる。その夜、歌手の田端義夫が飲んでいた。 戦前に「別れ船」、終戦後は「かえり船」などのマドロス歌謡で知られた田端だが、昭和30年ごろからはヒット曲に恵まれず、数千を数えた後援会員はわずか8人に減っていた。 くすぶる田端を前に、5人組の少女が歌いだした。「赤い蘇鉄(そてつ)の実も熟(う)れるころ…」 「これだ。こういう歌を俺は探していたんだ」。戦前から奄美で歌い継がれる「島育ち」だった。田端はさっそく所属のテイチクに持ち込んだが、幹部は「これは売れない」と口をそろえた。反対を強引に押し切っての録音は自身のギターと太鼓のみという最小編成だったが、レコードは売れた。あれよと40万枚を超え、自ら出演した同名映画も封切られた。 「奇跡の復活」と書かれたが田端は後年の本紙の取材に「それは違う。言うなら執念のヒット。この歌でもう一度勝負しようと、命懸けで歌った
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、二番目の力作『丸ごと一冊高田文夫』について綴る。 * * * さしずめページの私物化? 週刊ポストとは長いつきあいなのでここはひとつ甘えさせて頂いて。なんたってこの号が発売される1日前、つまり6月6日が私の「新刊」の発売日という訳なのだ。 そりゃ分かっております、天下の小学館です。いま一番売らなきゃいけないのは「第30回小学館ノンフィクション大賞受賞」、細田昌志の快著『力道山未亡人』です。素晴しい出来でした。ドキドキワクワクが止まらず3日間寝込んだほどです。 新婚生活わずか半年、遺された負債は30億円。こんな大変なことを私は知らずにここまで75年も生きて来てしまったことを恥入ります。『力道山未亡人』は力作です。 今の時代、二番目の力作はなにかと
生誕100年に合わせて安部公房特集を組んだ雑誌と、文庫の新作小説『砂の女』などで知られ、海外でも高く評価された作家で劇作家の安部公房(1924~93年)。生誕100年の節目となる今年は読書会などのイベントも盛況で、関連書籍の刊行も相次ぐ。伝統的リアリズムを脱するシュール(超現実的)な作風で、「前衛的」「無国籍的」とも称されてきた不条理文学の今日性に光が当たっている。 30人集い読書会「細部は非常にリアルなのに、全体を見ると非現実的なのが面白い」「『逃げられない恐怖』を強く感じた」…。3月末、安部公房が30代半ばからの日々を過ごした東京都調布市。京王線仙川駅近くのコミュニティースペースに約30人が集い、『砂の女』を読んだ感想を語り合っていた。有志らでつくる「仙川安部公房生誕100周年祭実行委員会」が開いた読書会の一コマだ。
歴史の玉手箱がまた一つ開いた。 小倉百人一首の選者とされ、鎌倉時代を代表する歌人、藤原定家の自筆本が子孫である京都市の冷泉家で見つかった。 失われたと考えられていた古今和歌集の注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」だ。写本が重要文化財に指定されているが、原本だけに、研究者は「国宝級」と評価する。 和歌は日本文化の源泉の一つといえる。今後の研究成果に期待したい。発見されたのは上中下の3冊で、中と下の2冊が定家の自筆原本と確認された。上は後の当主による写本で、原本は火災で失われたらしい。 和歌の奥義を伝えるという特別な「古今伝授箱」に収められ、蔵の中で明治期以来約130年間、開けられなかったという。歴代当主は一生に一度開けて書写するなど、研究を重ね研鑽(けんさん)を積んできたそうだ。 内容は、歌学者の顕昭による注釈に、定家が自説を付け加えたものである。現代に至るまで和歌研究のみならず、国文学
書店が苦境に立たされている。娯楽の多様化やインターネット通販の伸長、電子書籍の一般化などを背景に店舗数は減少を続け、日本出版インフラセンターの調べでは、平成16年度に全国で1万9920店あった書店は、令和5年度には1万927店まで減った。〝知の集積地〟ともいえる書店をいかに残していくか―。都内で長らく営業を続け、文化的基盤として地域を支える「非チェーン系」書店に、現状と生き残りの秘訣(ひけつ)を聞いた。 〝ニッチ〟で差別化本の街として知られる神田神保町。1890(明治23)年創業の老舗、東京堂書店は、3フロアの売り場に幅広いジャンルの書籍がそろい、特に人文書や文芸書のラインアップには定評がある中型店だ。 注力するのは、細かな需要を拾い上げること。各ジャンルで担当者が分かれているが、それぞれが出版社や著者と独自に交渉し、発行部数の少ないものでも必要であれば仕入れることを重要視している。「その
平川祐弘氏佐伯彰一氏が旧制富山高校の学生だった時、確か小林秀雄だと思うが新鋭の評論家が富山に来た。文芸講演の後、宿まで行って話を聞くと「作家の全集を読破すれば文学部卒業以上の実力がつく」と言われた由だ。これはまさにその通りで、人間の自己教育の尊さを示唆している。 私も新入生に忠告したい。講義などつまらない。自分で読むことが肝心だ。では私が読んだ作家は何人か。漱石、鷗外、ハーンは作品も手紙も八割方読んだ。この折に、三人の手紙に人間の生死を観察したい。 死を前にしたユーモア
「出演作品をすべて削除する!」人気声優の茅野愛衣が中国との歴史問題で大炎上! 中国国営メディアも煽り報道 「茅野愛衣のむすんでひらいて」ツイッターより 慰安婦問題や徴用工問題など、日韓間で毎日のように報じられる歴史問題。当然、日本と中国の間にも歴史問題は存在しているが、日本との関係強化を掲げる中国はこの数年、日本に対して厳しい批判を避けている。一方、著名人の言動や行動が思わぬ炎上を招くことは珍しくない。今回、人気声優が歴史問題に巻き込まれ国営メディアまでもが報じる事態へと発展している。 中国国営メディア・環球時報(2月14日付)は、「日本人声優が靖国神社参拝を自ら暴露、中国ネットユーザーの怒りを買うも未だ本人の釈明なし」と報じた。この炎上事件に巻き込まれてしまった声優とは、日本や中国でも人気声優として知られている茅野愛衣(33)だ。 2010年に声優デビューすると、『あの日見た花の名前を
『アークナイツ』公式サイトより スマートフォン向けタワーディフェンスRPG『アークナイツ』を運営する上海悠星網絡科技有限公司の日本法人Yostarが、24日に実施した同コンテンツのアップデート内容が物議を醸している。高レアリティ狙撃キャラクター・プラチナのCVを担当していた人気声優の茅野愛衣さんが降板し、北島瑞月さんが代わりに登板することになったのだ。これまでの音声データも北島さんにすべて一新された。 Yostarは「開発の要望により」と理由を説明しているが、インターネット上では「茅野さんが靖国神社へ参拝したことをラジオ番組で明らかにしたことに対する中国国内の抗議活動が関係している」などと指摘されている。 茅野さんの靖国参拝と中国での炎上騒動に関しては日刊サイゾーで、ライターの廣瀬大介氏が執筆した記事『「出演作品をすべて削除する!」人気声優の茅野愛衣が中国との歴史問題で大炎上! 中国国営
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