【読売新聞】
![「君たちはどう生きるか」 宮﨑監督作 Gグローブ賞 アニメ部門 日本初](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/df04c349bc4554c3bcf5f417b9f4c46326e5511f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.yomiuri.co.jp%2Fmedia%2F2024%2F01%2F20240109-OYT1I50006-1.jpg%3Ftype%3Dogp)
冷泉貴実子さん京都御所の北に泰然と構える冷泉家住宅(重要文化財)。主の冷泉家は小倉百人一首の選者で知られる歌人・藤原定家の子孫で、約800年もの間、和歌の宗家として伝統文化を守り伝えてきた。今、その家の前を大勢の外国人観光客が行き過ぎる。近代化、そしてグローバル化は経済発展をもたらしたが、一方で文化の均一化も招いた。そんな時代だからこそ、揺らがないもの、日本人が失ってはならないものがある。同家に生まれ育った25代当主夫人、冷泉貴実子さんに日本文化とは何か、そして「守る力」の極意を聞いた。 ◇ ――ご先祖のスターといえば歌人で名高い藤原俊成・定家父子ですが、さらに遡(さかのぼ)ると今年のNHK大河ドラマでも話題の藤原道長につながります
シンポジウム「作家が語るカフカ」では、小山田浩子さん、藤野可織さん、上田岳弘さん(右から)の芥川賞作家3人がカフカ文学の魅力について話した=令和5年11月、東京都新宿区『変身』『城』など人間存在の不条理を描いた小説で知られるチェコ出身の作家フランツ・カフカ(1883~1924年)が今年没後100年を迎える。節目に合わせ、カフカ文学の魅力を語るシンポジウムが開催され、代表作の新訳や関連書籍の刊行も相次ぐ。「超現実的」とも形容されてきた不可思議な作品世界に潜むリアリティーや今日性に光が当たっている。 「10年、20年前と比べて社会制度や常識がどんどん変わっているな、と感じる人は多いと思う。リアリティーが自壊していく…というか。カフカもあえて不条理を書こうとしたというよりも、現実と同じレベルの不条理さを表現しただけなんじゃないか、って気がするんです」 昨年11月、東京都新宿区の早稲田大で開かれた
神々しい山容を見せる富士山 =昨年11月、山梨県山中湖村(鴨志田拓海撮影)今年は富士山が世界文化遺産に登録されて10年という節目の年だった。そこで夏頃にはぜひ富士山にまつわるコラムを書きたいと思っていたのだが、ついつい他のテーマを優先させてきたために、富士山はこんなにも年の瀬が押し迫っての執筆となってしまった。天下の霊峰には申し訳ない気持ちでいっぱいである。 信仰の対象富士山の魅力は何といっても日本一の高さと、世界一美しいその山容であろうか。高さについては、昔の道徳の教科書だった「実語教」が「山高きが故(ゆえ)に貴(たっと)からず」などと教えてはいるものの、高いが故により多くの人を見上げさせ、祈らせ、希望を抱かせることも大いにあるわけで、私たちはこの効用を東日本大震災の津波禍を生き残った「奇跡の一本松」によっても実感したのではなかったか。
「ネタにメッセージ性を詰めてくるウザいコント師」「R-1には夢がない」とお笑いに噛みつき、挙げ句に「M-1アナザーストーリーがうざい」とM-1に吠えて、感動のM-1を黒く塗りつぶし栄冠を手にした「ウエストランド」。 今年はどんなドラマが生まれるのか? 敗者復活戦から決勝までぶっ通しの7時間10分。大会後に行われる「M-1大反省会」「M-1打ち上げ」の生配信まで含めると半日近くお笑いづくしとなった。 (文/ユウキロック) 昨年のファイナリストは超個性派メンバーが揃う中、今年は一転、決勝経験者4組を上回る初出場5組ながら技術を兼ね備えた実力者が居並ぶ。 審査員には「ダウンタウン」松本人志さん、「中川家」礼二、「サンドウィッチマン」富澤君、「ナイツ」塙君、「博多華丸・大吉」博多大吉さん、山田邦子さんは変わらず。そして、待望の「海原やすよともこ」のお姉ちゃん、海原ともこが新たに審査員として加わる。
漫才師日本一決定戦「M-1グランプリ」の決勝戦が24日、午後6時30分から東京・六本木のテレビ朝日で開催され、準決勝を勝ち上がった9組と敗者復活戦を勝ち上がったシシガシラの計10組が漫才師日本一を目指して激突。ファーストラウンドではさや香が659点、ヤーレンズが656点、令和ロマンが648点で続き、上位3組が進出する最終決戦へと駒を進めた。令和ロマンは不利とされるトップバッターを務め、最後まで暫定ボックスに残った。最終決戦では令和ロマンが審査員7人のうち、4人からの支持を集めて19代目王者に輝き、賞金1000万円を獲得した。 ファーストラウンドのネタ順は「笑神籤(えみくじ)」方式を今年も採用。毎回クジを引き、呼ばれたコンビがそのままネタを披露する方式が取られる。最終決戦ではファーストラウンドの1位の組にネタ順の選択権が与えられ、令和ロマン、ヤーレンズ、さや香の順番となった。 【決勝進出組】
伝統ある歌舞伎界を揺るがした前代未聞の事件である。 両親への自殺幇助(ほうじょ)罪に問われた、歌舞伎俳優、市川猿之助被告への懲役3年、執行猶予5年の有罪判決が確定した。 歌舞伎の興行は低迷している。新型コロナウイルス禍の影響も大きかったが、ファンの高齢化など課題も多い。その中で「客を呼べる役者」の一人だった元被告の事件は大きな痛手だった。 罪は重いが、一方でその才能を惜しむ声もある。本人も裁判で歌舞伎への思いをにじませた。復帰ありきであってはならないが、まずは真摯(しんし)に罪と向き合い、時間をかけて世に問うことから始めてほしい。 歌舞伎に限らず、コロナ禍中ではあらゆるエンターテインメントが興行中止に追い込まれた。ようやく復活の兆しが見えたのは昨年あたりからだ。 ぴあ総研の発表によると、令和4年のライブ・エンターテインメント市場はコロナ禍前の平成31・令和元年の約9割、5652億円まで回復
東南アジア研究が専門の慶応大学名誉教授が三味線と長唄を織り込みつつ講演会を粋の世界に誘っていた。お題は「明治時代の『空気』に触れる試み」。日本国史学会の会員を相手に大津絵節の黒船来航や鉄道唱歌までお披露目した。 小唄ファンの筆者は、講演を収録したDVDを見ながら、思わず拍手を送ってしまった。演者の野村亨さん(71)は「楽しくなければ学問じゃない」とばかり落語、漫談調で会員たちを引き込んでいく。 いったい明治の庶民生活の空気感とはどんなだったか。野村さんは12歳まで同居していた祖母、友山ふくから聞いた口頭伝承を「疑似オーラルヒストリー」として再現していく。一般に近現代史のオーラルヒストリーは、政治指導者からの口述記録が多い。いわば上部構造の歴史で庶民の時代感覚にまでは及ばない。 歴史を動かす人々の考えと、それを見つめる庶民の肌感覚は違う。どうやらこれが、三味線と長唄を巧みに操る野村先生の問題
文芸評論家・新保祐司氏橿原神宮で「海道東征」去る10月27日午後4時から奈良の橿原神宮の内拝殿で開催された橿原神宮奉納「海道東征」合唱公演は第1部が「紀元二千六百年頌歌(しょうか)」、第2部が「海道東征」であった。神戸市混声合唱団の合唱とピアノによる演奏である。交声曲「海道東征」は、これまでオーケストラの演奏で聴いてきたが、ピアノのものは初めてであった。 オーケストラの音楽をピアノ版で聴くのは、新鮮な経験をもたらす。例えば、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」をフランツ・リストがピアノに編曲をしたものを、グレン・グールドが演奏したCDを聴いたときの驚きを忘れることができない。音の豊富さはもちろん失われるが、音楽のイデーは却(かえ)ってはっきりと浮かび上がるのだ。
今年は和食がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されて10年の節目である。 文化といっても幅広いが、食文化ほど風土に根ざし、国民性や国そのものを表現するものはないだろう。 その年に、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出をめぐり中国が、日本産水産物の全面輸入禁止という暴挙に及んだ。水産物は和食の根幹を成すものだ。影響は小さくなく、科学を無視した不当な振る舞いには怒りを禁じ得ない。 今日は文化の日である。改めて、世界に誇る日本の食の豊かさに目を向け、その継承発展に努めたい。 観光庁の令和4年訪日外国人消費動向調査で「訪日前に期待していたこと」を複数回答で尋ねると「日本食を食べること」が78%と最も多かった。次いで「ショッピング」49%、「繁華街の街歩き」38%、「自然・景勝地観光」35%だった。 日本を訪れる外国人の多くが日本の食に親しみ、本場の味を楽しみに来日していることがわ
恒例の読書週間が始まった。 読書の秋は、行楽シーズンとも重なる。新型コロナウイルス禍での「巣ごもり需要」が終息し、本の売れ行きは減少傾向だ。そんな今だからこそ読書文化興隆を図りたい。本は心を豊かにする。 出版科学研究所によると、令和4年の出版市場(紙と電子版の合計)の推定販売金額は、前年比2・6%減の1兆6305億円だった。平成30年以来、4年ぶりに前年を下回った。 内訳は紙の6・5%減に対し電子版は7・5%増だったが、前年までの2桁増からは急激に鈍化した。電子版の市場占有率は3割を超えたものの、これまでのように紙の落ち込みを補うことはできなかった。新型コロナ禍での〝特需〟が終わったのは明らかだ。 さらに物価高の影響も見逃せない。紙代や印刷代、配送コストの増大などで本の値段が上昇している。特に廉価で庶民の味方だった文庫本は深刻だ。 書店を歩いてみるといい。近年、文庫本の平均価格は税込みでは
小津安二郎松阪記念館では再現した映画看板も展示されている=三重県松阪市「アベ政治を許さない」「保育園落ちた日本死ね」-。毎年恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンに選ばれた過去の言葉の中には思わず眉をひそめるような内容もあった。当時の首相を呼び捨てにしたり、乱暴な言葉を使ったりしていて品がない。選考委員の見識を疑ったものだった。 《現実を、その通りにとり上げて、それで穢(きたな)いものが穢らしく感じられることは好ましくない。映画では、それが美しくとり上げられなくてはならない》(松竹=編『小津安二郎 新発見』)。名作『東京物語』などで知られる日本映画界の巨匠、小津安二郎監督(1903~63年)の言葉である。流行には興味がなかったらしい小津だが、もしも選考委員だったとしたら、冒頭に挙げた言葉は「好ましくない」と思って採用しなかったかもしれない。
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