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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (48)

  • オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書かれていることにこめられた希望だけ。だが、考えて見れば、ピンチョンはすべて雑然とした羅列しかできない人ではある。それを複雑な世界の反映となる豊穣な猥雑さだと思ってみんなもてはやしてきた。だが実はそれは、読者側の深読みにすぎないのかもしれない。そしてその深読みが匂わせる陰謀論が意味ありげだった時代——つまり大きな世界構造がしっかりあって、裏の世界が意味をもった60-80年代——にはそれで通ったのに、1990年代以降はもっと露骨な陰謀論が表に出てきてしまい、ピンチョン的な匂わせるだけの陰謀論は無意味になった。それがかれの最近の作品に見られ

    オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2023/11/14
  • ラフィ『カストロ』:ほぼ唯一のまともな意味での伝記。視点も批判的だが明確で最新。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary ラフィ『カストロ』(原書房、2017) は、2021年時点で日で出ている最新のカストロ伝。他の伝記が公式プロパガンダの羅列にとどまるのに対し、カストロに対するきわめて批判的な視点を元に、一般人がカストロの生涯を見て疑問に思う、革命への参入動機、少人数なのになぜ勝利できたのか、その後もなぜ権力が続いたか、ソ連の工作の影響などについて、明解な視点と説得力ある記述を行っている。 米ソ関係とその中のキューバ の位置づけ、という視点しかない他の伝記に比べ、南米におけるコミンテルンのオルグ活動、兄弟の戦略的な役割分担、政権を取ってからの壮絶な粛清と政敵弾圧の記述は圧巻。また文化的弾圧、人間関係、政策評価など他の伝記で無視されている内容にも、詳細な分析が行われる。 批判的なその論旨に賛成だろうと反対だろうと、議論の基盤として使える情報と論理があり、読者が自分の立ち位

    ラフィ『カストロ』:ほぼ唯一のまともな意味での伝記。視点も批判的だが明確で最新。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • diffとしての表現、あるいはほぼあらゆる (人間的な) 価値は、逸脱である - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 多くのものはいまや、価値が来の機能ではなく、それ以外の来の機能との差分/diffに宿るようになっている。酒はもともとアルコールの酩酊感のためのものだが、いまやアルコール以外の不純物がお酒の味の主役になっている。事は栄養摂取が来の機能だが、グルメ料理はそれを離れ、単なる舌や感覚への刺激だけを重視するようになっている。 今後、そうした部分が増えるのではないか。車もバイクも、「味わい」とされるのはニュートラルな移動機能から逸脱した歪み。いずれ、そうした部分だけソフトウェアなどで再現されてそれだけが分離されて取引され、その土台となるハード/来の機能部分はコモディティ化してどんどん低価格化する世界がやってくるのではないか? ジャクソン・ポロックなどある種の芸術は、いちはやくそうした diff だけの世界を予見しているようでもある。 かなり前から考えている

    diffとしての表現、あるいはほぼあらゆる (人間的な) 価値は、逸脱である - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) epub版 右クリックでダウンロード 読者のみんなは、ぼくに深く感謝するがよいのだ。これはそれだけの価値がある、すごいだからだ。 この短いに収められた叡智のすごさは、ちょっと比類がない。第1章は、彼の限定合理性理論のまとめであると同時に、自分でその限界をバシバシ指摘したおっかない部分。2章は、進化論について一般人の知るべき事を、とんでもなく高度な話まで含めて網羅している。第3章では、1982年の時点で地球温暖化の話にすでに目配りしてあるのに驚くし、また最後に出てくる各種経済学派のちがいは唯一、期待形成のあ

    ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2020/09/23
    ちょうど思うところあって『システムの科学』読み返しててやっぱおもろいなと思っていたのでありがたい
  • マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』:3ページで書ける仮説を引きのばした鈍重な文芸評論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』は、文字、なかでも表音文字の発明が、意味と表現との分裂を招き、それにより人間の意識をも分裂させた、と唱える。それまでは聴覚=全身性の感覚で環境に没入し、環境と一体化していた部族社会的な人間が、距離を置いて見る、見たものを頭の中で考える、という視覚重視の新しい認知環境に置かれた。 これにより、環境/社会とは切り離された、頭の中だけの個人が誕生した。さらにそれがグーテンベルクの印刷術のおかげで、まったく同じものをみんなが手にしている状況が生まれた。これにより、自由、平等、個人、プライバシーといった、まったく新しい社会と人間像が生じた。 議論はもっともながら、その論証はきちんとした論証になっておらず、文芸作品でのちょっとした描写を挙げるだけなので、理論的な説得力はない。視覚的、構築的な理論化を意図的に避け、聴覚=全身性の談

    マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』:3ページで書ける仮説を引きのばした鈍重な文芸評論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 格差の拡大は本当だろうか?——経済学者、格差の数字を見直す(The Economist より) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者口上:秋にピケティの新著が出たところで、The Economistの11/30号に格差についての議論を見直す研究についての話が出ていた。おもしろかったので勝手に翻訳。トップ層がすさまじく豊かになっているという見立ては、実はそんなに正しくないのではないか、という研究がどんどん出てきたというお話。ただし、どれも金持ちの豊かさ増大がピケティらの言うほどはすごくないかも、というだけで、金持ちが豊かになっていること自体を否定するものではないので念のため。なお、途中の見出しはオリジナル通りで、全部ある有名な曲の歌詞から。(山形浩生) www.economist.com 2011年にニューヨークのズコッティ公園での抗議デモに何千人もが集結する10年以上前、フランスのあまり有名でない経済学者が腰を据えて、所得格差についての新しい見方を扱った論文を書き始めた。「我々の研究の焦点は、トップ10%、トップ1

    格差の拡大は本当だろうか?——経済学者、格差の数字を見直す(The Economist より) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ウィリアム・ギブスン:意匠だけのファッションショー小説 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary ウィリアム・ギブスンの1990年代三部作と、2000年代三部作は、いずれの小説としての体をなしていない。ストーリーはどれもほぼ同じで、まったく必然性のない探索を、まったく必然性のないアート系女子が、大金持ちに依頼され、必然性のないところをうろうろして、最後に目的のものが見つかっても何も起きない。途中の必然性のない場所や出会う人々のスタイル、ファッションといった意匠をやたらに並べ立てるだけのファッションショーでしかない。1980年代の大傑作のおかげで万人の期待が大きく、駄作でも深読みしてもらえていたが、かつては鋭敏だったファッションアイテムへのセンスや社会観もすでに停滞し、作家としての価値はすでにないも同然ではないか。 はじめに:ギブスンの意義 ウィリアム・ギブスンはそれなりに特別な作家だし、ある時点では文化的にとても重要な役割を持っていた。ぼく個人にとっ

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    murashit 2019/10/15
  • キューバの経済 Part3: 利益は「計画からのずれ」!社会主義会計と投資 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    前回、キューバ経済に見る「効率性」の考え方のちがいについて述べて、それをもたらす資投資の不足を指摘した。今回はその資投資の話を…… はじめに: モンゴルの財務諸表 開発援助がらみの仕事で、いろんなところでいろんな変なものを見てきたけど、いくつか後悔していることもある。その一つが、2000年にモンゴルで郵便局の改革案を作ったときに出てきた、社会主義会計の資料をなくしてしまったことだ。 その仕事では、モンゴルの郵便局の再建が仕事だった。モンゴルは昔は、GDPの一割にも相当する財政ミルク補給をソ連からもらっていて、しかも郵便局も扱う郵便のほとんどは、駐留ソ連兵さんたちが故国に書き送るお手紙によるものだった。それがソ連崩壊でみんな帰ってしまい、扱い量が激減し、確か五分の一くらいになったのかな。で、売上も激減して困ったモンゴル郵便は、郵便料金をいきなり十倍に上げる暴挙に出て、もちろんそれで郵

    キューバの経済 Part3: 利益は「計画からのずれ」!社会主義会計と投資 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2019/03/12
    会計まわりの話がおもしろかった
  • キューバの経済 Part1: 憲法改正と市場経済 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    1. はじめに 最近、キューバでのプロジェクトが始まって、いま二回目の現地調査。キューバというと、みんなゲバラにカストロ、葉巻で、ついでにブエナビスタ・ソシアルクラブで町中が音楽に満ち……というような漠然としたイメージしか持っていない。このぼくもそうだった。その一方で、アメリカの経済制裁の影響や社会主義経済の常として元気がなく、停滞しているという話も聞いていた。 ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ Film Telecine Version [DVD] ライ・クーダーAmazon で、行ってみたら……うーん。何と言おうか。いや、いいところなんだよ。いろいろおもしろいのは事実。でも、どこがいいのか、と言われると口ごもる。どうだった、と言われると、次から次へと悪い点ばかりが出てくるんだけれど、でもじゃあ、そんなひどいところかと追われると、それほどでもないどころか結構楽しい。うーん。 ということで

    キューバの経済 Part1: 憲法改正と市場経済 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2019/02/15
    おもろい
  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • マイクル・コーニイの気恥ずかしさ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    その昔、1980年代末かな、『SF』という雑誌に、福直美という非常に優秀な評論家が「マイクル・コニイはお小説様の作家である」とかなんとかいう題名の、実に鋭い評論を書いていて、ぼくはそれを読んで、マイクル・コニイってあまりソリがあいそうにないなーと思ってサンリオ時代には手に取らなかったのだった。うちにあるということは、いつか読んでもいいか、くらいには思っていたのかな? でも実際には読まなかった。『ブロントメク!』も『ハローサマー、グッドバイ』も。 その評論の主旨というのは、確かコニイの作品は基的に主人公が身勝手で独善的で、それを厚顔なまでのナルシズムで正当化しているんだ、というものだったように記憶している。『ハローサマー、グッドバイ』の主人公は、自分は特権階級のパシリ小役人の息子としていい思いをさせてもらってるだけなのに、なんか反抗期の青臭い正義感を口先だけでたぎらせていい気になって

    マイクル・コーニイの気恥ずかしさ - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2017/10/02
  • SexyCyborg様インタビュー(というか独演会)記録 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    2016年12月20日 1400-1630 Holly’s Coffee @ 深圳 新世界購買中心 聞き手:高須正和、山形浩生 はじめに SexyCyborg様を知らぬ者は幸いである。えー、彼女は中国のエレクトロニクス/ホビイスト系maker界隈では知らぬ者のない存在で、チョイエロ的な工作が十八番。おかげでmaker系とは関係ないフォロワーのほうが多かったりするけど、アイデアも設計も3Dプリントもコーディングも全部自分でこなす実力者。ぼくも今回インタビューすることになるまでは、単なる色ものねーちゃんだと思っていたので、前日軽く調べ始めて目を白黒して居住まいを正しました。お見それしました。簡単な紹介は以下の動画参照。 SexyCyborg feature on China Daily 作品とかはこのimgurに上がっているのがいちばん多い。さらに彼女のすごいのは、筋金入りのオープンソース&フ

    SexyCyborg様インタビュー(というか独演会)記録 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 redux - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    二年ほど前に、「エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編」というエントリーを書いた。 cruel.hatenablog.com さて、これは実は、もっと長いモノを書いていたんだけれど、それを査読してもらった人に、こんなものを公開してもだれも喜ばないと言われて、ひっこめて短縮版をブログに乗せておいたのだった。それに、どうせこれを読んでもあまりわかる人もいるまいと思ったこともある。 でも最近、藤田直也という評論家が、SF作家クラブの腐敗を告発するとかいうことをツイッターで言い始めつつ、急に腰砕けになる醜態を見せた。 togetter.com その周辺のいろんな発言とかを見ているうちに、少しはこんな文も意味があるかと思うようになった。 さて、この藤田直也の一連の発言というのは、自分の個人的な恨みやら保身やらを、いかにも公共的な告発であるかのように見せかけて投げ散らすというどうしようもない代物だ。自

    エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 redux - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2015/12/22
    予想以上に適用範囲の広いテキストだったし、思った以上に山形センセのウエットな部分が出てる文章だった
  • 反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    しばらく間が空いた。で、反知性主義についての簡単なお勉強を経て、ぼくが手に取ったのは『日の反知性主義』だった。 このの題名は、明らかに『アメリカの反知性主義』を意識しているようだ。その一方で、この面子を見ると、ぼくが冒頭に挙げた『現代思想』の執筆者と重なるようであり、「反知性主義」を「バーカ」の意味で使う連中の集団のようにも思える。で、どうなのよ? それがぼくの興味だった。が、その前に…… 「反知性主義」をちがう意味で使ってはいけないの? まず、そもそも「反知性主義」を「バーカ」の意味で使ってはいかんのか? ぼくはそうは思っていない。ぜんぜん構わないと思う。ただ、その場合にはホフスタッターとかを引き合いに出してはいけない。まるで意味がちがうからだ。 なぜか? ホフスタッターのは、名著とはいえ決してだれでも知っているメジャーなではない。ぼくはたまたま、漠然とホフスタッター的な意味合い

    反知性主義3 Part 1: 内田編『日本の反知性主義』は編者のオレ様節が痛々しく浮いた、よじれた本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はじめに 反知性主義をめぐるを3冊読んだので、その話をちょっと書こう。なぜそんなものを読もうと思ったかというと、『現代思想』の「反知性主義特集」に対するアマゾンのレビューがぼくのツイッターでちょっと話題になっていたからだ。 「彼らは反知性主義だ」と規定する知性は知性主義的なのか? ぼくはこの特集を読んでいないし、読むつもりもない。が、このレビューの主張はよくわかると同時に、この特集のスタンスについて疑問が湧いてきた。 というのも、このレビューを信じるなら、この特集での「反知性主義」というのは、「自分とちがう考え」のことらしく(たとえば原発推進とか安部政権評価とか)、そしてそれを「反知性主義」と呼ぶのは、要するに「バーカ」というのをご立派に言い換えているだけらしいからだ。 さて、まずぼくはこの手の言い換えが嫌いだ。ぼくはしばしば、バカをバカとはっきり言うので、性格が悪いとか下品とか言われる

    反知性主義1: ホフスタッター『アメリカの反知性主義』 知識人とは何かを切実に考えた名著 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    murashit
    murashit 2015/08/21
    続くのかよ!!!!
  • テレビ出演のことなど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    LUCY/ルーシー [DVD] 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン発売日: 2015/01/16メディア: DVDこの商品を含むブログ (2件) を見る 先日から、ピケティが売れてあちこちのテレビに出たりしたんだけれど、あれはそれなりにおもしろいもので、いろいろ流儀が番組ごとにちがうのが興味深いところ。台をびちっと作り込むところ、もうその場のノリに任せるところ、その他いろいろ。 ぼく自身はといえば、やはりとっさの気の利いた反応がしづらいのと、あととりあえず人の話を聞こうとか思ってしまうことがあって、あまり他人を押しのけてまで前に出る発言ができずにしゃべる機会を逸しているな、という感じ。面目ない。場数をもう少しふめば変わってくるかもしれないけど(これまでの経験で、しゃしゃり出る人たちは大したことを言ってないから、押しのけたところで実害はないことがだんだんわか

    テレビ出演のことなど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティ『21世紀の資本』サポートサイトその他 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る 1. サポートサイト β版公開 ピケティ『21世紀の資』は、使用データやエクセルファイルを全部ウェブのサポートサイトで公開し、に載らなかった詳細なデータ表やグラフ、各種データの説明などはそちらに載せてある。そして専門補遺でも計算の説明の相当部分は「Excelのセルの計算式を見るように」という説明になっている。 つまり、としてはこのサイトの中身もセットで一通り訳さないと、完全な翻訳にはならないわけだ。 ということで、サポートサイトを以下にほぼ完全に翻訳した。 ピケティ『21世紀の資』サポートサイト http://cruel.org/books/capital21c/ オリジナルのサイトとほぼ同じ内容

    ピケティ『21世紀の資本』サポートサイトその他 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    murashit 2014/10/13
  • 牧真司他編著『サンリオSF文庫総解説』:落ち穂拾いなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    サンリオSF文庫総解説 作者: 牧眞司,大森望出版社/メーカー: の雑誌社発売日: 2014/09/18メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (20件) を見る 全体的な感想 しばらく前に寄稿したが出ました。すばらしい。サンリオSF文庫はぼくの十代の想い出とも重なっていて、なかなかノスタルジックないいになってるんじゃないか。今まできちんとやられていなかった、山野浩一のインタビューも、歴史的に重要だしまったく意外な話はなかったものの、当時の事情が非常によくわかる。出版からサンリオが退却したのは、上場のためだったんですねー。そして、サンリオにラテンアメリカ文学が入ったのは、大瀧啓祐が木村栄一をサンリオに紹介したおかげだ、というのも驚き。 出たすべての解説が出ていて、書き手によって好みはあるけれど、どれもいい感じ。『V』とか『マイクロノーツ』とか、だれも当時ほとんど顧み

    牧真司他編著『サンリオSF文庫総解説』:落ち穂拾いなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    murashit 2014/09/13
  • 宮内『ヨハネスブルグの天使たち』:嫌いではないが背景設定が無理すぎ - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) 作者:宮内悠介早川書房Amazon うーん、困ったなあ。 全体的な雰囲気は嫌いではない。トーンはモノローグ調。戦争あるいはスラム化等した雰囲気の中で、荒んだ心を抱える語り手がある種の人間的な感傷に浸るという連作集となる。ちなみに感傷というのは決して悪い意味ではない。書のような世界観――あるいは「ポスト伊藤計画」的な世界観――からすれば、後ろ向きのアナクロだけれど、でもそれが人間をよくも悪しくも人間たらしめているものではあるんだから。 が……その背景世界の作り方が、ぼくにとってはまるっきり説得力がないのだ。 冒頭の「ヨハネスブルグの天使たち」は、資源が枯渇して内戦に陥った南アのヨハネスブルグで暮らす少年の話。そこの高層ビル(なかなか目立つので、ヨハネスブルグに行くといやでも目につく)が、歌う人型ロボットの落下試験に使われて

    宮内『ヨハネスブルグの天使たち』:嫌いではないが背景設定が無理すぎ - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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    murashit 2014/06/13
  • エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    (承前) で、2014年5月に『富岡日記』関連の話題以外で、もう一つ山形が話題にのぼっている話が……大森望が日 SF 作家協会に入れなかった話。その原因は、巽孝之と小谷真理が大森望にずっと私怨を抱いているから、ということなんだが、それをさらに悪化させたのは、山形が聞きかじってきて裁判のタネにもなった小谷揶揄の替え歌にあって、何やらその替え歌に大森が関与していたという邪推があるとかないとか。 『オルタカルチャー日版』の「真相」 まずはっきり言えることは、その替え歌をぼくに教えてくれたのは、大森望ではなかったこと。具体的にだれかは覚えていないし、なんだか裁判のときにもやたらにしつこく訊かれたので、いっしょうけんめい記憶を探ったんだけれど。でも大森ではなかった。 その現場となった宴会には大森望もきていたとのことだけれど、これすら今となってははっきり記憶にない。宴会自体も一時間もいなかったはず